WBC開幕まであとわずか 砲丸投法にビーンボール魔球……ピンチの時に頼りたい野球漫画の「チート技」4選


 3月に開催される野球の世界大会、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。日本代表は宮崎にキャンプインをし、連日メディアが報じるほど徐々に熱気を帯びてきている状況だ。

 今回日本チームには、大谷翔平、ダルビッシュ有といった超一流のメジャーリーガーや村上宗隆、佐々木朗希といった国内外の有力選手が揃い、史上最強チームの呼び声が高い。

 その一方で前回優勝のアメリカもメジャーリーグのトップどころが集結。最強左腕であるカーショーは辞退と報じられたが大谷のいるエンジェルスのスーパースターであるマイク・トラウトが主将として参戦、元巨人でカージナルズで活躍するピッチャー、マイルズ・マイコラスなど2連覇を見据えた本気のメンバーを揃えにきている。

 第3回優勝のプエルトリコやドミニカ共和国など強豪国が目白押しで、史上最強の日本といえども苦戦する可能性があるかもしれない。

 そんな苦戦の時にテレビを見ながら思わず「使用したい」と思ってしまうのが、野球漫画に登場した「スゴ技」ではないだろうか。今回はその一部を取り上げていきたい。

賀間剛介の砲丸投法『ドカベン』

 中学時代主人公の山田太郎と柔道で競った賀間剛介。彼は再び山田と勝負するべく、野球に転向。甲府学院のエースとして明訓高校の前に立ちはだかった。

 そんな彼の武器が「砲丸投法」である。常にダンベルを抱えて持ち歩き腕力を鍛えた賀間はボールを鷲掴みにして、そのまま投げる。そのボールは何の変哲もない様に見えるのだが、鉛のように重いため飛ばすことが難しく、バットをへし折ることも。この非常に重いボールは、「砲丸投法」と称された。

 ちなみに賀間はバッティングでも腕力を活かし、バントのような格好でバットにボールを当てると、球が外野のフェンスを超えてホームランになるという、荒業を見せている。

 鉛のように重いボールは国際大会でも十分に通用する。砲丸のような重さの球なら、メジャーリーガーでもスタンドに叩き込むことは難しいはずだ。

椿林太郎のかすみの秘球『黒い秘密兵器』

 1963年から65年『週刊少年マガジン』で連載された『黒い秘密兵器』。原作福本和也、一峰大二作画の野球漫画で、『巨人の星』の前進的な作品ともいわれる。突如巨人軍に登場した左腕の椿林太郎が魔球を操りながらライバルと切磋琢磨し、チームを勝利に導くストーリーである。

 そのなかで登場した椿の最終兵器が「かすみの魔球」。投球フォームの途中に突然ボールが投じられるもので、打者はタイミングが取りづらい。しかもバットで振りに行くと、ボールはスルスルとバットから逃げていくのだ。

 手首を巧みに使う投法ということもあってか、椿の左手は悪性の腫瘍が出来てしまい限界を迎える。結局日本シリーズの南海戦に5連投しチームを日本一に導いた後、失踪せざるを得なくなってしまった。

 『黒い秘密兵器』の連載が開始された『巨人の星』に登場した大リーグボール3号も「かすみの秘球」に似ているという声がある。ボール自らバットを避けることができれば、メジャーリーガーであっても打てないであろう。

檜あすなろの弾丸ボール『名門!第三野球部』

  むつ利之原作の漫画、『名門!第三野球部』。その主人公で桜高校のエース、檜あすなろが投じていたのが「弾丸ボール」だった。

 これは甲子園大会の試合であすなろが初速と終速に差がないボールを投げており、相手打者の打った大飛球が戻されたことに疑問を抱いたTV局がスローで分析したことがきっかけで判明した。

 一般的なストレートの軌道は縦回転だが、弾丸ボールは拳銃の弾丸のような横回転となっているため、かなり威力がある。このため相手の打者はボールの力に負け、押し込まれてしまうのだ。なぜか甲子園の観客にや選手に聴こえるように喋っているTVアナウンサーがこのことを踏まえて、「弾丸ボール」と名付けたのだった。

 横回転のボールはその後「ジャイロボール」と呼ばれ、野球漫画『MAJOR』にも登場し、一部プロ野球選手がその存在を口にするなどネットなどでも話題になった。檜あすなろの弾丸ボールは横回転でグリグリと打者のバットをえぐるもの。このようなボールは、実在していないという考え方が一般的だ。

氏家慎次郎のビーンボール魔球『アストロ球団』

 中島徳博原作で、ぶっ飛んだ野球技が複数登場する『アストロ球団』。そのなかで元特攻隊員・氏家慎次郎が投げた最後の魔球である。

 ビーンボール魔球は打とうとすると球皮がはがれ打者に襲いかかり、血を吹いて絶命するというもの。相手の命を取る恐ろしい究極の魔球だが、投げたほうも魂を使いすぎてしまうため、老人になってしまう。

 実現すると殺人罪に問われる可能性が高く、投げるほうも高いリスクを負うこの魔球。「絶対に抑えたい場面」に使いたい気もするが、投手も老化してしまうとなると、躊躇してしまうかも。

 野球漫画に登場したスゴ技の数々。実現することはかなり難しいが、代表の選手たちは、それに負けない確かな技術で日本を盛り上げてくれるだろう。

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