【漫画】「桃太郎」が鬼と友達になろうとしたら? 昔話に新たな視点を与えるSNS漫画に涙腺崩壊
岡山の神話『温羅伝説』を参考に
――なぜ『桃と岩。』を制作しようと思ったのですか?
ウタクニ:王道の少年漫画を描いてみたく、「まず古典に学ぼう!」思って桃太郎を選びました。“少年が悪者を倒す”という物語のベストセラーでもありますので。とはいえ、なぞっても面白くはないので、設定をアレンジしました。
――キャラクター制作におけるにモデルはいましたか?
ウタクニ:モデルはいません。ただ、桃太郎の元ネタと言われる岡山神話『温羅伝説』の人物、キビツヒコと温羅(うら)の要素が入っています。『温羅伝説』では、百済から温羅という残酷な王子が渡来し、岡山の岩屋に住みつき、それを英雄であるキビツヒコが退治する、という話になっています。温羅の岩屋は今も岡山に「鬼の差し上げ岩」として実在するので、そこも参考にしました。
――温鬼は“鬼っぽい角”ではなく触角のような角でした。
ウタクニ:温鬼の角は、能の般若の面の要素が入っています。また、服装などは奈良の仏像と、仏像に踏まれる邪鬼がモチーフです。
――テンポ良く読める内容でしたが、物語の進行についてはどのように意識しましたか?
ウタクニ:とにかく最後まで読んでもらうため、展開を急いで描きました。ただ急すぎるのも良くないので、今は緩急をつけることが課題です。
次に仲間になるのは犬?
――バトルシーンはとても迫力がありました。何か工夫した点はありますか?
ウタクニ:描き込みです。技術的に未熟なため、キャラクターの感情を線で重ねることで、緊迫感を出そうと試みました。
――2人の今後の旅の様子が気になります。
ウタクニ:本作は、鬼、犬、鳥、猿という童話の逆順に仲間を増やす、という物語の1話として制作しました。発表時期は未定ですが、続編は次の「犬」の話を描きたいです。
――ウタクニさんの今後の目標など教えてください。
ウタクニ:「面白いマンガを定期的に出せるようになりたい」というのが今の目標です。ただ「面白い」は見る層によって評価も異なるので、楽しく描けて、かつ人に喜んでもらえるラインはどこか探っています。今回は少年誌を想定して描きましたが、続けて描いていけることも意識して活動したいです。
作者・ウタクニさんのプロフィール
2020年より漫画制作を開始。WEBにてショートマンガの投稿を行なっている。ギャグとドラマの2ジャンルをメインに作画。
Twitter:https://twitter.com/uta_kuni