祝・新成人 又吉直樹&ヨシタケシンスケのトークショーで気づいた、本好きではない人にこそ教えたくなる本の魅力
「オレ、こんな本買っちゃうんだぜっていうあの瞬間が一番好き」(ヨシタケシンスケ)
続いて「本は好きですか? なぜ好きですか?」という質問。もちろん二人は本が好きだということで共通しているが、ヨシタケによると読書量に関してはそれほど多くないそうだ。
ヨシタケ:本を買うのが好きなんです。「オレ、こんな本買っちゃうんだぜ」という顔をしてレジに持っていくときが一番盛り上がるタイミングですね。本屋さんに行って「この本とこの本、一緒に買っちゃうんだぜ」っていう、あの瞬間が一番好きなんです。本は誰かの思いがあってはじめて世に出てくる紙の束で、一冊一冊そうした思いのもと生まれてきている。読まなくても手に持っているだけで伝わってくるんです。そういうものを愛でていきたいですね。
「本への向き合い方を変えたらどの本も面白くなる」(又吉直樹)
又吉:僕も海外旅行に行ったら本屋さんに行くのが好きで、読めないんですけど文字と絵を見ているだけで幸せな気持ちになります。だからレジに持っていくんですが、その時は読める雰囲気を出してしまいますね。日本に帰って開いて読めないけど、やっぱりいいなあって。本って物語だけじゃなくて、物質としての良さがあると思います。手に持ったときの心地よさとか、この本を自分の本棚に置いておきたいとか。
ユーモアあふれる語り口で笑いを誘いながらも、本を心から好きなことがよく伝わるエピソードからは、必ずしも本を読むことだけが本の楽しみ方ではないことを教えられる。
又吉:どの本が面白いかというよりは、本への向き合い方を変えたらどの本も面白くなると思います。本を読み始めるまでのアプローチ、どこで読むか、そしてどのように読み終えるのか。本に対する自分のテンションというか……装丁なども含めて本の全情報を楽しみたいと思いますね。
最後に「本」について、ヨシタケは「ないと困るもの、部屋にありすぎても困るもの」、又吉は「本のおかげで退屈がなくなった」と語り、映画も音楽も好きだが、いつでも開けばそこに物語があって言葉が並んでいる――最高の時間の過ごし方だと締めくくった。
SNSやゲーム、配信動画など、現代では多くの楽しみが存在するが、又吉が言うように、そこに物語があって没入できる世界が本にはある。さまざまな本を手に取ることで、見える世界は確実に変わってくる。新成人になる方々にとっては、2023年が良い本との出会いがあることを切に願いたい。