『呪術廻戦』最新の展開についていけない読者も? 『HUNTER×HUNTER』との共通点から理由を探る

 「週刊少年ジャンプ」で連載中の人気作『呪術廻戦』(芥見下々)の最新刊となる21巻が12月2日、発売された。

 少年漫画としてギリギリを攻めたシビアな展開に、個性的なキャラクターたちとユニークな能力(術式)、緻密な設定、底が見えない強者の存在……と、バトル漫画としてシビれる作品だ。最新刊でも想像すらしなかった能力がぶつかり合う頭脳戦がおもしろい。一方で、一部読者からは「話についていけない」という感想も聞こえてくる。その理由は約4年ぶりの週刊連載でファンを喜ばせている『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)と近しいところがありそうだ。

 『HUNTER×HUNTER』は現在、ファンにとって思い入れの深い「幻影旅団」の過去を描くエピソードが進行しており、SNSは考察を楽しむ読者であふれている。しかし、本筋である「カキン王国王位継承戦」は複数の陣営の利害が絡み合い、数えきれないほどの新キャラクターが投入されているため、コミックスを丁寧に読み返さなければ物語についていけない、という声が聞かれていた。

 『呪術廻戦』も現在、多くのキャラクターがバトルロワイヤル的に戦い“得点”を競う「死滅回游」というやや複雑なゲームが描かれており、少し目を離すと何が起こっているのかわからなくなってしまう。新キャラクターとその立ち位置や能力、目的の把握ができていないと、話の筋を追うのはなかなか難しいだろう。理解すべき情報量が多く、必然的に読むべきテキストが増えがちなのも両作の共通点と言える。

 もっとも、上記の要素は「この作品ならではの面白さ」とトレードオフな部分も小さくないため、否定するものではまったくない。また、こちらも仕方のないことだという前提だが、「休載が多い」ことも読者が熱量を維持したまま物語を追いかけ、深く理解しづらい要因になっているように思える。

 漫画としての質の高さを考えると、そうした理由でふるい落とされてしまう読者がいるとすればあまりにもったいない。現時点で物語を見失っている人がいれば、YouTube「ジャンプチャンネル」にて、既刊20巻までの「死滅回游」の状況をまとめた動画が公開されているので、ぜひチェックしたい。

呪術廻戦』21巻発売記念スペシャルPV【死滅回游】

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