まるごと一冊『SLAM DUNK』のジャンプ発売 映画版に賛否も、原作の魅力を再発見できる理由

『SLAM DUNK』ジャンプが“買い”な理由

 12月3日の映画公開に向けて、注目が集まる名作バスケットボール漫画『SLAM DUNK』。一冊まるごと同作で作られた「『SLAM DUNK』ジャンプ」(集英社ムック)が本日11月8日、発売された。

 宣伝文には、「新規読者に向け、原作漫画全276話より物語のベースとなる24話を厳選収録」とあり、連載時から追いかけ、単行本、完全版、新装再編版と幾度となく買い直し(※『SLAM DUNK』はデジタル配信されていない)、何十回と読み返してきた筆者のようなファンはターゲットではないかもしれず、正直なところ、新たな情報はない。しかし、結論として「買ってよかった」と思える一冊だった。

 本書は「花道入部編」「花道デビュー編」「三井再起編」「新生湘北スタート編」「秘策・花道編」「赤坊主・特訓編」「素質と努力編」「2人の逸材編」に分かれ、それぞれにダイジェストを交えながら、“おいしいところ”を網羅している。そこから溢れた中間のエピソードを読みたい気持ちも浮かんではくるが、1巻から最終巻まで通読する時間がないとき、この1冊で“SLAM DUNK欲”を相当程度満たすことができるのは、なかなかありがたい。

 そして何より、「週刊少年ジャンプ」と同じB5判という判型、かつ色付きの再生紙に印刷された『SLAM DUNK』を読むという体験が、思いのほかエモーショナルなものだった。特に「紙の本」にこだわりはなく、デジタル配信されている作品はスマートフォンやタブレットで読むタイプの人間でも、連載を追いかけていた懐かしい日々がよみがえり、いまも変わらず高校生の花道たちに、あらためて感情移入できる。それだけで660円の価値があった。

 映画『THE FIRST SLAM DUNK』については、ボイスキャストの一新やCGを活用した作画など、賛否の議論が巻き起こっている状況だが、やはり『SLAM DUNK』は面白い。「『SLAM DUNK』ジャンプ」は現在、ほとんど全てのネット書店で売り切れ状態になっているが、コンビニエンスストアや書店ではわりと見つけることができる。往年のファンにおいては、あの頃、ソワソワしながら「週刊少年ジャンプ」を手に取った感覚を思い出し、本書を楽しんでみてはいかがだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる