レジェンドなのに誰よりも現役? 『うる星やつら』新アニメ化で振り返る高橋留美子の凄さ

『うる星やつら』新アニメ化、高橋留美子の歩み

 高橋留美子原作による『うる星やつら』の新作アニメが10月13日25時45分より、フジテレビ“ノイタミナ”ほかで放送を開始する。先立って12日には、コミックス1~9巻を収録した『うる星やつら復刻BOX Vol.1』とともに、現在「週刊少年サンデー」で連載中の最新作『MAO』の単行本14巻が発売されるなど、ファンにとってはお祭りのような状況だ。

 普段、漫画を読まない人にとっては、高橋留美子といえばアニメでお馴染みの『うる星やつら』をはじめ、『めぞん一刻』や『らんま1/2』という人気作の原作者、というイメージが強いかもしれない。これらの作品は80年代~90年代にかけてのもので、それ以降の活動はフォローしていない、ということもありそうだ。稀代のヒットメーカーであることは認識していても、現在に至るまでの恐るべき“継続性”は見落としがちかもしれない。

 高橋留美子の初連載作品は、1978年の『うる星やつら』(週刊少年サンデー)だ。81年から5年間、アニメ版が放送され、劇場版も高い評価を受けた。80年からは、いまもラブコメの傑作として愛され続けている『めぞん一刻』(ビッグコミックスピリッツ)を連載し、アニメ化、実写映画化、のちにテレビドラマ化も果たす大ヒットとなる。なんと少年誌と青年誌をまたにかけた同時連載だ。

 87年に上記2作の連載が終了すると、同年に『らんま1/2』(週刊少年サンデー)をスタート。こちらもアニメやゲームも含めて多くのファンの心を掴んだが、同時に不定期連載が20年間続き、テレビドラマ化もされた『1ポンドの福音』(週刊ヤングサンデー)も始まっている。

 さらに『らんま1/2』の連載が終了した96年には、世界中にファンを抱える大ヒット作『犬夜叉』(週刊少年サンデー)をスタート。劇場版や舞台も人気を博し、連載終了の翌年となる2009年には、こちらも3シーズンのアニメ化を果たしている『境界のRINNE』(週刊少年サンデー)を開始している。こちらは2018年に終了し、現在は冒頭に記した『MAO』を連載中だ。

 その他、多くの短編やシリーズ作品を手掛けながら、ほとんど隙間なく週刊連載を続けており、しかもその全てが「代表作」と言えるようなヒットを記録しているのだから凄まじい。あらゆる作品で”るーみっくわーるど”を表現しながら、ここ3作は女性主人公を起用するなど、時代に応じた変化も見られ、ファンを飽きさせない。長年連載を追いかけている読者は、いまも『うる星やつら』から地続きで高橋留美子作品を楽しんでおり、今回の新アニメ化には、「旧作のリメイク」とは違った感触があるだろう。

 漫画界のレジェンドであり、誰よりも現役な高橋留美子。その連載デビュー作である『うる星やつら』の新アニメにハマった人は、最新作『MAO』もぜひチェックしていただきたいところだ。

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