プロ漫画家なら“ゴミみたいな絵”を上描きして美しくできる? 慎本真先生の挑戦動画が面白い
ユニークな実験動画を撮影することに定評のある、漫画家の慎本真(しんもと・しん)氏が、自身のYouTubeチャンネルで「プロ絵師が《ゴミみたいな絵》の上にイラスト上描きしてみた!!」と題した動画を公開。アシスタントが適当に描いた線画を上描きし、美しいイラストにできるか、という挑戦を行なった。
慎本氏は「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室」でゲスト講師を務めるなど、技術を伝えることに長けた作家だ。チャンネル登録者数が50万を超えるYouTubeでは、家族やアシスタントも出演するアットホームな動画を届け、初心者にもわかりやすいイラストや漫画の描き方を伝えている。SNSや各種アプリの登場により、漫画やイラストを発表する場が劇的に拡大し、クリエイターとして活躍したいと考える人も増えているなかで、あの手この手で「絵を描く楽しさ」を伝えてくれる存在だ。
今回の動画では、アシスタントで療養中のエス君が適当に描いた線をきちんと活かして、素敵なイラストに仕上げることができるか、という検証が行われた。「適当に描いた線」と言っても、実際には「キャンバスに糸くずが散らかっている」ような感じで、ちぢれた線があったり、渦を巻いた線があったりと、イラストの邪魔になりそうなシロモノである。
アシスタントのさいとうさんとともに、さっそく挑戦する慎本氏。この企画はお笑いコンビ・アイデンティティとのコラボ動画でも行なわれたもので、散らばった線からいかに全体のイラストを想像し、違和感なく取り入れられるかがポイントだ。
詳しくは動画を観ていただきたいところだが、画力とともに想像力が問われる企画で、その点でプロ(慎本氏)とアマ(さいとうさん)の違いが見られるのが面白い。さいとうさんも二つの線が眠たい目のように見えることをうまく利用して、愛らしい赤ちゃんのイラストを仕上げたが、慎本氏は中華服をきた男性キャラが、目を回した子パンダを抱いている見事なイラストを完成させ、さすがの発想を見せつけた。
特に秀逸だったのが、渦巻き上の線を「目を回したパンダ」の目として利用し、そのシチュエーションに説得力を持たせるため、パンダにたんこぶまでつけていること。「ゴミのような」線を違和感なく上描きし、さらに背景のストーリーまで広げている。
一見、ただのお楽しみ企画だが、漫画やイラストを生業にする人の発想や技術がわかる今回の動画。気になる人はぜひ動画をチェックしてみよう。
■参考動画 https://www.youtube.com/watch?v=30WU1laSCDc