曇り空はどんな色で描く? “おじいちゃん先生”の解説動画がイラストレーターや漫画家も必見の内容

 今年75歳になる水彩画家&絵画講師の“おじいちゃん先生”こと柴崎春通氏が、自身のYouTubeチャンネルで「おじいちゃん先生の水彩スケッチ / 曇り空の描き方」と題した動画を公開した。絵を志す人々にとって、示唆に富んだ内容になっている。

 柴崎氏は、1970年に和光大学芸術学科を卒業し、2001年には文化庁派遣在外研究員としてアメリカに留学。「The Art Students League of New York」等で水彩の研究を行っていたキャリアを持つ。普段は視聴者から寄せられた絵画を添削し、その映像をYouTubeで公開。決して作品を否定しない、穏やかな口調の講義は、視聴者にとっての癒し時間にもなっているようだ。チャンネル登録者数は150万人を超える。

おじいちゃん先生の水彩スケッチ / 曇り空の描き方

 そんな柴崎氏が、今回の動画では自宅の近所だという田園を訪れ、スケッチをするという。空はあいにくの曇天だが、柴崎氏は収穫が終わった田んぼと並ぶ主役に「空」を据えるとして、鉛筆でさらりと描いた下絵に色をのせていく。「南の海で発達した台風がちょうど日本に来る季節でもあるので、こんなにどんよりとした曇天の空が続いたりもするんですね。でも柴崎はね、この曇った空がとても好きです」と語り、薄い紫色、暗い緑色など、色を重ねることで雲の厚みを表現していく。薄い黄色で光の濃淡もつけられ、一つひとつの色を取ってみれば「曇天」の表現には見えないが、完成した全体像をみれば見事の一言だ。

 また、広がる田園、家や納屋などの建物については、「形を細かく正確に描くわけではない」として、むしろその奥にある人々の生活に思いを馳せながら、愛情を持って彩色していく姿が印象的だ。解説を聞いているから、という側面もありそうだが、そのことが絵に奥行きを与え、豊かな印象を与えているように思える。

 YouTube上では、絵画だけでなくイラストや漫画など、「絵」の仕事を志す人々に向けた動画が日々、多く投稿されている。そのなかで、柴崎氏が示す水彩画を軸とした高い技術と発想は、多くのクリエイターの参考になることだろう。気になる人は、ぜひチャンネルをチェックしてみよう。

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