もうひとつの“朝倉未来伝説”ーーLINEマンガで連載中の『路上伝説』が面白い

朝倉未来マンガ『路上伝説』レビュー

 9月25日に開催された格闘技イベント「The Battle Cats presents 超RIZIN」にて、フロイド・メイウェザー・ジュニアと死闘を演じたことが記憶に新しい、人気格闘家の朝倉未来。チャンネル登録者275万人を誇るYouTuberであり、実業家であり、歌手デビューも果たしているマルチな朝倉が、昨今のマンガ業界でトレンドになっている、縦スクロール&フルカラーの「webtoon」にも進出している。

LINEマンガ『路上伝説』の情報はこちら

 原案:朝倉未来による『路上伝説』は、8月よりLINEマンガとebookjapanで好評連載中。学生時代の「朝倉未来」を主人公としたアウトロー系マンガだが、本人は連載開始に伴い、「この物語は朝倉未来が実際に生きていたかもしれないもう一つの世界線です」と語っている。冒頭には「この作品はフィクションです」という注記もあるが、描かれている「朝倉未来像」はなかなかリアルだ。

 本作で描かれているように、朝倉が中高生の頃、売られた喧嘩をひたすら買い続け、驚くべき“戦績”を誇っていたことはよく知られている。不良の先輩たちに目をつけられることも多かったようだが、『路上伝説』では「敬語を使う」ことへの拒絶感が描かれており、いわば「必ずしも立派ではない人間をなぜ、年長というだけでリスペクトしなければならないのか」という思いが、「生意気な態度」に繋がっていたことが示される。

 格闘技シーンを盛り上げるためのビッグマウス、ヒールを演じるようなパフォーマンスも含めて考えると、礼儀がなっていない人物だ、と思う人も少なくないかもしれない。ただ、日々動画が更新されるYouTubeで素に近い表情を見たり、実際に本人と話してみたりすると(筆者は取材経験あり)、別の理解ができたりもする。

 つまり、少なくとも現在の朝倉未来は、立場や能力で最初から人を値踏みすることなくフラットに相手を眺め、基本的に丁寧に対応していく人物に見えるのだ。『路上伝説』でも、彼は正々堂々と喧嘩を売ってきた相手であれば、実力差のある弱い人間でも、「ヤンキー狩り」であっても好意的に捉えるし、喧嘩とは無縁で、真面目に慎ましく過ごす一般学生にも優しい視線を投げかけている。しかし、理不尽に対しては断固として戦うーー「不良マンガ」の主人公として、好感が持てるキャラクターだ。

 アクションマンガとしての面白さを考えると、各コマがシームレスに繋がり、スピーディな演出に向いたwebtoonの特性がうまく活かされており、喧嘩のシーンは見応えがある。一方で、その描写にドロドロとした陰惨さはほとんど感じられず、卑怯な不良グループの策謀に怒りがわくシーンこそあれ、基本的には爽快感を伴うバトルが展開される。コメディ的な描写も多く、アウトローの姿を描きながら幅広い読者に受け入れられる要素があるのも、本作の特長だろう。読み進めれば、近寄りがたく思えていた朝倉未来が、意外とチャーミングな人間だと思えるようになるかもしれない。

 YouTubeチャンネルの視聴者にはお馴染みのメンバーたちが登場するのも、ファンには楽しいところだ。すべてがリアルなエピソードではなさそうだが、朝倉がいまも大切にする仲間とどのように出会い、どのように友情を育んでいったのかがよくわかる。動画と合わせてチェックすると、より立体的/相乗的に楽しめるという、メディアミックス的魅力も備えており、映像化にも期待したいところだ。

作品紹介

『路上伝説』
原案:朝倉未来 Mikuru Asakura
制作:LOCKER ROOM/BAEL
URL:LINEマンガ:https://lin.ee/zzWRKE7/qtpo
   ebookjapan:https://yahoo.jp/6U93Ym

 誰にも屈しないという強い信念を持つ主人公・朝倉未来(アサクラミクル)はその性格から不良に目をつけられ、喧嘩に明け暮れる日々を送っていた。次々と立ちはだかる強敵と闘う中で仲間たちとの絆を深め、大きな困難を乗り越え、夢や将来への希望を切り開いていく!

 YouTubeでお馴染みのあのメンバーも登場!総合格闘家であり、大人気YouTuberである朝倉未来のもう1つのストーリーが今始まる。

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