「アンプの神様」によるオーディオエッセイに注目 洒脱な文章で縦横無尽に語り尽くす!

「アンプの神様」によるエッセイに注目

 PodcastやSpotifyで配信される素人ラジオも合わせて、コロナ禍でさらなる盛り上がりを見せたラジオ文化。そんなラジオを愛し、少年時代からラジオや真空管アンプを製作して「アンプの神様」と言われた伊藤喜多男による、『真空管アンプと喜多さんの 音響道中膝栗毛』『真空管アンプと喜多さんの 続 音響道中膝栗毛』(誠文堂新光社)が、2022年10月5日(水)に刊行。本書は1987年、1989年に発行した書籍の復刻版だ。

 『真空管アンプと喜多さんの 音響道中膝栗毛』では、少年時代にラジオを製作してから著者が生きた60年間の中で、その時代に製作したラジオや真空管アンプ、特徴的な真空管やトランスなどのパーツ類について、著者の人生のエピソードを織り交ぜながら、洒脱な文章で語られている。

 フェランティ、アマートラン、マーション、ウエスターンエレクトリック、シーメンス…真空管創世紀より、管球アンプと取り組んで60年。伊藤流アンプ製作術の原点がわかる真空管アンプファンの必読書。著者の目で眺めた真空管アンプとオーディオ発展史となっている。付録として、50、801A、6V6、F2a、E84L、EL34、Ed、WE300Bなど、過去に著者が製作した管球アンプ10点の回路図とそれぞれについての説明を掲載している。

 『真空管アンプと喜多さんの 続 音響道中膝栗毛』は、1973年~1978年の間、さまざまなオーディオ雑誌に寄稿した記事を一冊の本にまとめたオーディオエッセイ。アンプ製作のみならず、鉄道好きで、落語、歌舞伎、花柳界にも造詣が深い趣味人の著者が、音楽・食物・映画館・ウエスターンエレクトリック・現代オーディオ事情などを縦横無尽に語りつくす。

 戦前、戦後にオーディオ誌に寄稿した製作記事も豊富に掲載。アンプの神様と言われた著者が綴るオーディオ批評傑作集だ。付録として、戦前、戦後にオーディオ誌に寄稿した製作記事も豊富に掲載している。

目次

『真空管アンプと喜多さんの 音響道中膝栗毛』
■発端 田作の歯ぎしり
(一)明治四十五年~大正十三年 育ちのあらまし/放送開始以前
(二)大正十四年 ラジオ事始め/チックラーコイル/グリッドリークとマイカドン
(三)大正十五年 レオスタット/コイルさまざま/真空管のこと(199型と201型)/電池のこと/低周波トランス/クロスレーとレフレックス
(四)昭和二年 ギルフィランとニュートロダイン/ブローニング・ドレーク/真空管のこと(200型)
(五)昭和四年 真空管のこと(240型)/スーパーヘテロダイン/レコードがラジオで聞ける(電蓄事始め)/エリミネーターとレイシオンBH/真空管のこと(スクリーングリッド管222型)/真空管のこと(226型)
(六)昭和五年 真空管のこと(224型と227型傍熱管)/真空管のこと(パワー管112A、171Aの時代)/ロフチンホワイト/ブレッドボールドからシャシーへ/高周波増幅の多段化/真空管のこと(235型と二極検波)/ダイアルとノッブ
(七)昭和七年 フェランティのこと/活動写真に音がつく/アンプに専念/シネマギンザのペーセント/シネマパレスで体当たり/真空管のこと(ペントードの出現。247型と2A5型)
(八)昭和八年~十二年 マ―ションの電解コンデンサー/日比谷公会堂/真空管のこと(6・3Vに統一された球)/真空管のこと(番号が二桁になり、アルファベットが入る)/真空管のこと(トランスレス球)/八百屋になるべくしてなった倅
(九)兵隊になった変な男/ラジオ屋開店
(十)昭和二十六年~三十二年 WE300B一号機/ウエスターン・エレクトリック入社/ルーティン・サービス/録音屋になる/LPがステレオになる
(十一)昭和四十五年~そして現在 ニッケミからウエストン、そして万博/シーメンスとの出会い/部品考、悲喜こもごも/たった一人の老人ホーム
(付録一) アンプ作りのこつ
(付録二) 回路図集

『真空管アンプと喜多さんの 続 音響道中膝栗毛』
■まえがき
■獄道物語(一九七三) 獄道と開眼/音源の追求/商売人ほど無関心/幻想/字にならない音/初対面/劇場と家庭の音/劇場用スピーカーの厳しさ
■音響本道(一九七四) 鑑定家/耳をつかうときの目鼻口と手の功罪/孤独 感傷 連想/瑣事/芸が稼ぎになるとき
■うえすたん物語(一九七五) 口上/落語「酢豆腐」と「寝床」/高貴薬/落語「太鼓腹」/邦楽座/旧形を追放したシネマスコープ/磁気録音に伴う小型化/英国ウエストレックス/磁気録音四トラック時代/地方館の名機/兵器なみのプロ用装置/映画用音響装置の分布と価値/当直/録音(一)フィルム/録音(二)ディスク/言訳
■今様すてれお大名(一九七六)
■真贋物語(一九七七~一九七八) くらえども/名物にうまいものなし/目黒のさんま/さしみ/ビフテキ/とんかつ/名人/吝嗇/貪欲/味の存在/絢爛たる混淆/声帯模写/幇間と噺家/歌舞伎/新派/羊頭狗肉/プロフェッショナルという人と物/オイロダインのこと/真物の生き残れる理由
■ひとさまざま(一九七八) レコードを聞かぬ人/レコードだけを聞く人/仕方なくレコードをかける人/他人にレコードを聞かせないひと/レコードを聞き歩くひと/鳴っていればよいひと/ひとさまざまを眺めるひと
■付録「伊藤喜多男製作記事集」(一)戦前編 一九二九~一九三四
■付録「伊藤喜多男製作記事集」一九五二~一九五五
■あとがき

著者プロフィール

伊藤 喜多男(いとう・きたお)
1912年東京上野に生まれる。 小さい頃からラジオ製作などに興味を持ち、以来数多くのアンプ製作を手がける。ベテランの真空管アンプ愛好家の間では、「アンプの神様」として知られる。戦後はウェスタンエレクトリック東洋支社などオーディオメーカーで技術者として勤務。『MJ無線と実験』を初め、オーディオ誌に多数寄稿。

書籍概要

シリーズ名:MJ Archives Collection
書 名:真空管アンプと喜多さんの 音響道中膝栗毛/真空管アンプと喜多さんの 続 音響道中膝栗毛
著 者:伊藤 喜多男
仕 様:A5判
頁 数:240ページ/332ページ
定 価:5,500円(税込)
発売日:2022年10月5日(水)

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