東畑開人の話題作『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』 世紀末による特別漫画を公開!

東畑開人氏話題作が特別漫画に

 臨床心理士・東畑開人氏が今年刊行した“新感覚の読むセラピー”『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(新潮社)。それを題材に人気漫画家・世紀末氏が描いた特別漫画が公開された。

 「夜の航海」をモチーフにしながら、自分の心とどう向き合うか、他者とどうつながるかといった問いを探る同書。世紀末氏は「自分の心だけでなく他人の心のことも深く考えるキッカケになる本でした」と語っている。今回描いたのは、心に残ったシーンから想像を膨らませたという。

<東畑開人さんコメント>
「心にとって「前」はどちらの方角なのか。僕らはしばしばわからなくなります。方角さえわかれば、そっちに向かって舟を漕げばいいのだけど、それがわからないから動けなかったり、同じところをグルグルしたりしてしまう。そういった人生の方向喪失の時期を、深層心理学者ユングは「夜の航海」と呼びました。」

<東畑開人さんコメント>
世紀末さんがこの場面を取り上げてくださったのは嬉しかったです。「ナイショのつながり」、つまり親密な関係がこの本のメインテーマなのですが、そこには自分でも気がつきにくい傷つきが溢れかえります。傷つけないように、傷つけたい、傷つけられる、傷ついた、あるいは癒される。ああ、親密になると、そういうことばかり。 

<東畑開人さんコメント>
 「普通」はふしぎな言葉です。なにが「普通」なのか、本当はよくわからないのだけど、「普通」と言うと、そこにあった色々な気持ちを麻痺させることができる。それはつまり、どんなに嫌なことであっても、それに慣れてしまって、当たり前だと思って、絶望している自分が「普通だよ」と言っているということなのでしょう。だから、誰かが「それはヒドイ」と言ってくれると、本当に助かる。

漫画家プロフィール

世紀末
漫画家。著書に『殺さない彼と死なない彼女』など。平成7年8月9日生まれ。名前の由来は、強くなりたくて「強い=世紀末覇者拳王」だと思ったから。あと響きが良い。

『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』内容紹介

家族、キャリア、自尊心、パートナー、幸福……。
心理士として15年、現代人の心の問題に向き合ってきた著者には、強く感じることがあります。
それは、投げかけられる悩みは多様だけれど、その根っこに「わたしはひとり」という感覚があること――。
夜の海をたよりない小舟で航海する。そんな人生の旅路をいくために、あなたの複雑な人生をスッパーンと分割し、見事に整理する「こころの補助線」を著者は差し出します。
さあ、自分を理解し、他者とつながるために、誰も知らないカウンセリングジャーニーへ、ようこそ。

著者紹介

東畑開人(とうはた・かいと)
1983年生まれ。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。京都大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。臨床心理士・公認心理師・博士(教育学)。精神科クリニックでの勤務、十文字学園女子大学で准教授として教鞭をとった後、現在白金高輪カウンセリングルーム主宰。著書に『野の医者は笑う―心の治療とは何か?』(誠信書房2015)『日本のありふれた心理療法―ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』(誠信書房2017)『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』(医学書院 2019)、『心はどこへ消えた?』(文藝春秋、2021)。訳書にジェイムス・デイビス『心理療法家の人類学―心の専門家はいかにして作られるのか』(誠信書房 2018)。『居るのはつらいよ』で第19回(2019年)大佛次郎論壇賞受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020受賞。

書籍データ

【タイトル】なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない
【著者名】東畑開人
【発売日】2021年3月16日
【造本】四六判
【本体定価】1,760円
【ISBN】978-4-10-354491-3
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/354491/

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