小島秀夫や貴志祐介が激賞 破格の近未来諜報小説、荻堂顕『ループ・オブ・ザ・コード』

荻堂顕新刊が発売

 作家・荻堂顕の衝撃のデビュー二作目にして、破格のエンタテイメント巨篇『ループ・オブ・ザ・コード』(新潮社)が8月31日に発売される。

 災厄、虐殺、自己喪失。混沌を生きる現代に捧ぐ、近未来諜報小説の新たな地平だ。今年のエンタメ界「台風の目」となる規格外の一作が誕生した。

 2020年、26歳の時に書き上げた『擬傷の鳥はつかまらない』で第7回新潮ミステリー大賞を受賞し、作家デビューを果たした荻堂顕。同作は「アリバイ会社」を経営する傍ら、顧客を「ここではない世界」へと逃亡させる「逃がし屋」を稼業とする女性を主人公とした内容で、新人離れした筆力が高く評価され、「本の雑誌」2021年上半期ベスト10の第二位に選ばれるなど、業界内で大きな注目を受けた。

 そして本作『ループ・オブ・ザ・コード』では、その世界観はさらにスケールアップ。パンデミックによる社会の変容、ジェンダー/セクシュアリティに起因する今日の「アイデンティティ」にまつわる問題意識、または「民族的アイデンティティ」の危うさ、そして昨今の国際情勢など、現代の社会問題を織りませながらも、緊密な文体、巧みなセリフ遣い、ド迫力の活劇によって一級のエンタテインメントに仕上がった。

 早くも小島秀夫、貴志祐介、東山彰良、大森望といった錚々たる面々から激賞を受ける、今年のエンタメ界「台風の目」となる一作だ。

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推薦の言葉

小島秀夫(ゲームクリエイター)
「『虐殺器官』や『都市と都市』の衝撃が再び。未来を閉ざすのは、ウィルスでも最終兵器でもない。本作が警鐘を鳴らす内省的絶滅は、まさに現代社会で喘ぐ我々に、集団的心的外傷(マストラウマ)を与える。ただひとつの救いは、この閉塞禍に未来を繋ぐ新たな才能が産声をあげた事だ。」

貴志祐介(作家)
「疫病渦より深刻な、混沌とした国際政治の病理を鋭く抉り出している。コロナ禍とウクライナ戦争の今こそ、民族とは何かを教えてくれる。」

東山彰良(作家)
「緻密にして大胆。なによりも、この物語のやさしさに心を揺さぶられた。」

大森望(書評家)
「生まれてくることは悪なのか? 伊藤計劃『虐殺器官』から15年。ふたたび世界に根源的な問いを突きつける。」

あらすじ

 疫病禍を経験した未来。WEO(世界生存機関)に所属するアルフォンソは、20年前に歴史の一切が〈抹消〉された、かつての独裁国家〈イグノラビムス〉へと派遣される。
 いまや多数の欧米企業が参入し、「再生のテーマパーク」とも揶揄される彼の国で、児童200名以上が原因不明の発作に見舞われる奇病を発症、その現地調査を命じられたのだった。しかし、時を同じくして、非常事態が発生。「悲劇」の再来を恐れたWEO事務総長から、密命を言い渡されることになり……。
 国家機関単位の任務を、たった数人で遂行することになったアルフォンソたちが辿り着く、衝撃の真実とは、一体。 

著者コメント

■〈反出生主義〉、〈親ガチャ〉……「人間は生まれてくるべきなのか?」という問い。本作は、パンデミックを経験した〈近未来〉を舞台に、かつての独裁国家にして、国家の記憶が〈抹消〉された国で、国連所属の調査員である主人公が奇病の謎と、とある「重大事件」の犯人を追う物語。壮大な設定でありながらも、昨今の疫病や国際情勢など「現代」が色濃く反映されている。荻堂は、本書へ挑戦した理由をこう語る。

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 構想は投稿時代に遡ります。後にデビュー作となる作品を新潮ミステリー大賞に投稿した直後から、「次はSF設定の物語を書きたい」と思っていたのですが、古代ローマの刑罰「ダムナティオ・メモリアエ」を過去に学んだこともあり、「記録することが禁止された架空の国家で起きる犯罪」を書こうと考えていました。デビュー作では「消せない過去」をテーマにしたのですが、二作目の執筆に際しては、自分自身が異性愛者として結婚し、「子供を創る」という行為が現実性を帯びてきているなかで、「生まれてしまったこと」自体をテーマにしようと。「人間は生まれてくるべきなのか?」「生まれてこない方がよかったのか?」という問いです。

 取材の過程では、親から虐待を受けていた方から話を伺いました。一方で、これから親になる方からも話を伺いました。「生まれてきたこと」は地球上の人類にとって唯一と言っていい共通項です。けれど、それについての考え方は文字通り千差万別です。正解はないし、誰も他人の答えを責める権利を持っていない。僕が本作で提示したのは、作中の言葉を使えば「無責任な希望」です。僕自身は子供がいないし、これから持つかも分からない。「生まれてきてよかったか?」と問われて、強く頷くこともできない。でも、生まれてしまった以上は、希望を持つ権利があるし、誰かに与える義務があると思っています。
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■絶望の時代に、「物語」が提示できる可能性、「物語」にできること、とは。

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 「令和にデビューした小説家として、令和は「物語の終わり」を象徴する時代だと感じています。いわゆる「大きな物語」だけではない、「物語」自体の終焉です。国内でも悲惨な事件が立て続けに起き、誰もが明るい未来を描けずにいる。そのなかで、「物語に何ができるか?」を考えることは絶望的です。それでも僕が小説を書き続けるのは、自分自身が物語に救われたことがある人間として、まだできることがあると信じたいからです。今回の執筆にあたって、ラストシーンは決めておらず、もともとはうっすらと違うものを考えていました。しかし、最終的には自分でもとても納得のゆくものになりました。昔だったらああはならないし、数年後には違う結末を書いていたはず。今の自分だからこそ辿り着いた結末を描くことができました。
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著者紹介

荻堂 顕(オギドウ アキラ)
1994年3月25日生まれ。東京都出身。早稲田大学文化構想学部卒業後、様々な職業を経験する傍ら執筆活動を続ける。2020年、『擬傷の鳥はつかまらない』で第7回新潮ミステリー大賞受賞。本作はデビュー二作目。

書籍データ

【タイトル】ループ・オブ・ザ・コード
【著者名】荻堂 顕
【造本】四六判(416ページ)
【本体価格】2,090円(税込)
【発売日】2022年8月31日

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