映画『恋は光』が本日公開 キャンパスライフが高解像度で描かれた、原作漫画の魅力を考察 

『恋は光』の魅力を考察

※本稿には『恋は光』第2巻までの内容を含みます。ご注意ください。

恋をしている女は光る
キラキラ/キラキラ
まるで宝石のように

 上記の台詞から物語がはじまる、恋愛漫画『恋は光』。2017年にコミックス最終巻が発売されたが、本作を原作とした実写映画が本日6月17日に公開されることとなり、再び注目を集めている。

 劇場版では神尾楓珠や西野七瀬、平祐奈や馬場ふみかが共演することでも話題を呼んでいる。映画公開を記念して、本稿では原作漫画の魅力を振り返りたい。

恋愛劇のなかで推理や哲学をする登場人物たち

 男子大学生・西条は中学校へ進学したころから恋をしている女性が光って見えるようになった。新緑薫る5月のキャンパスでキラキラと輝く女性たちに嫌気を覚えるなか、西条は「恋というものを/知りたくて」と話す女子大生・東雲に恋をする。

 特殊な体質の西条や恋について思考を巡らせる東雲のほか、西条の幼馴染である女子大生・北代や、東雲たちと同じ学科の女子大生・宿木南が本作の中心人物だ。4人が交流しながらキャンパスライフを送る日々が描かれる。

 西条の“恋をしている女性が光って見える”という体質が物語の展開に大きく作用するが、光って見える女性の要素が“恋をしている”状態だというのは、あくまでも西条が自身の経験から導き出した仮説にすぎない。そのため本作は“光って見える女性は恋をしている”という仮説を検証する西条、そして“恋の定義”を考察する東雲の姿が並行して描かれることとなる。

 小学生のころから西条と(友人として)親しい仲の北代。彼女が仲介役となり西条と東雲は関係を深めることとなるのだが、実は北代は西条に恋心を抱いていた。そして大学内で北代や東雲と交流する西条の姿を見ていた宿木。彼女は恋心を抱かれている男性を略奪したいという欲望を持つ人物であることが明かされる。

 東雲に恋心を抱く西条と、西条に恋心を抱く北代。東雲や北代から西条を出し抜きたい宿木。それぞれの思いが複雑に絡み合うことで、西条の体質における仮説の検証と東雲の“恋”の定義に関する思考もより深くなっていく。

 その例として、第2巻では東雲と北代、宿木のなかのひとりが西条と交際することで、4人の関係に波紋を生むこととなる。ただ、この出来事は西条や東雲に新たな気づきを与えることとなるのだ。

 物語の終盤で、西条と東雲は各々の答えにたどり着くこととなる。西条が見えていた光の正体とは。東雲がたどり着いた“恋”の定義とはーー。本作は4人の恋愛劇という側面を持ちつつ、西条の体質を検証するといった推理的な側面、“恋をする”という状態を言語化するという哲学的な側面もある作品といえるだろう。

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