【5月発売BLコミックレビュー】『放課後のエチュード』『焦がれて焦がして』……待望の続刊が熱い!

5月発売BLコミックレビュー

『焦がれて焦がして(2)』
(noji/BABY コミックス/ふゅーじょんぷろだくと)

 地元を離れ料理人として独立した古山悠次と、日々業務に忙殺されまともな食事を取っていなかった会社員の常川総一。幼なじみのふたりの思いがけない再会と、一緒に食卓を囲む日々から始まる恋模様を描いた作品が『焦がれて焦がして』だ。1巻で見られたのは、悠次の10年来の想いが実って、幼なじみから恋人へステップアップするふたりの姿。穏やかな大人の日常、恋愛の中にも、どこか青春初恋もののぎこちない距離感や初々しさが感じられた。そんなふたりの関係は2巻で、ずっしりとした安定感を獲得していた。

 第2巻で描かれるのは悠次の家で、同棲をはじめて1年経ったふたりの日々だ。同棲生活にすっかり馴染んでいたり、のんびりキャンプに出かけたりする様子からは、ふたりがいかに何気ない今を大切に積み重ねているかが伝わってきた。

 そんなふたりに、家族に自分たちの関係を伝えるか、伝えないかを考えるタイミングが訪れる。恋人同士であることは別に隠すことではないと思いつつも、理解してもらえないかもしれない、大切にしていきたい日々が揺らいでしまうかもしれない……という不安を抱く様子も、2巻では描かれた。

 穏やかな展開の中にも、何気ない日々の大切さに気づく瞬間がある、そんなじんわりと心があたたまるようなシリーズ続刊だ。

ゆっくりと刊行されるBLコミックは、じっくり読み込む時間をくれる

 BL漫画は、単巻で完結する作品が多い。しかし最近は最初から複数巻想定で作られたり、人気作品の続編、続刊が発表されたりすることも増えてきた印象だ。ファンからすると、非常に喜ばしい展開である。

 またBLコミック誌は隔月刊、季刊のものが多いため、続刊が出るまでに少々時間が空いてしまうことも珍しくない。ファンからすると少々待ち遠しい期間ではあるものの、はじめて手に取る人にとっては、次の巻が出るまでにじっくりと作品を読み込む時間が取れるというメリットになる。

 今回紹介した2作品も、さらなる展開が期待される。既刊は2巻で、次の巻が出るまでの時間はたっぷりあるこの機にこそ、手に取ってみてはいかがだろうか。

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