『クレヨンしんちゃん』野原家以外を巻き込んだ、ハチャメチャないたずら4選

『クレしん』野原家以外を巻き込んだいたずら

フランス風フルーツ・ド・ライスシチュー(ミルクソース和え)

 多くの登場人物に迷惑をかけるしんのすけであるが、幼稚園のひまわり組全体に影響を及ぼした事例も存在する。そのひとつが2巻「幼稚園は楽しい 楽しいパラダイス編(その1)」で描かれた給食にまつわるお話だ。

 本エピソードではしんのすけやマサオくんたちが給食を教室に運ぶ様子が描かれる。冒頭に給食センターの女性を怒らせたしんのすけは、そのあとシチューとごはんの大半を床にこぼしてしまう。その事実をみなに知られぬよう、「成せばなる/洗えば食える/何物も」と話しながらちり取りでこぼしたシチューを鍋に移す。

 デザートのフルーツみつ豆も加えたり、色彩を調整するため牛乳を入れたりするなど、様々な工夫を凝らしひまわり組の生徒に「フランス風フルーツ・ド・ライスシチュー(ミルクソース和え)」と称し提供した。この料理を実際に食べる様子は描かれていないものの、最後にはひまわり組の先生・吉永みどりが給食センターの女性に「またフランス風の作ってね♪」と話す様子が描かれた。

 本稿で挙げたようなエピソードは、掲載当時であったからこそ描くことのできたものも多いだろう。時代が変化したことや妹・ひまわりが生まれ兄という立場になったことなど、しんのすけの行動の過激さは少しずつ和らいでいるように感じる。

 ただしんのすけの行動に相手を貶めようという悪気があるとは思えず、最後に挙げた「フランス風フルーツ~」のエピソードは、怒られたくないマサオくんや風間くんをかばうために及んだ行動としても捉えることができる。当然ながらフィクションであることも踏まえ、人に迷惑をかけてしまうのもご愛嬌……といえる範囲のいたずらかどうかは人それぞれの判断に委ねられるところだが、常に自分が楽しみ、人を楽しませたいという純粋さゆえのいきすぎた行動にも思え、またときには人のために行動するからこそ、「野原しんのすけ」というキャラクターは30年以上、多くの人に愛されているのかもしれない。

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