北京五輪メダリスト平野歩夢が「二刀流」に挑む理由「誰もやっていないことを形にしていることが、 俺にとってのスタイル」

平野歩夢、二刀流を極める理由

平野歩夢にとってスタイルとは?

 練習中の平野に笑顔は少ない。だけど、苦しそうな表情もしていない。自分のやるべきことを理解して、目標をただ見据えているようにも見える。

 サンパウロ。サンディエゴ。スイス。タイトなスケジュールで世界を巡っていても、平野の視線はブレない。クルマを運転したり、料理をする姿など、貴重なオフシーンの写真もあるが、そのトーンは変わらない。

 本書は、東京オリンピックの出場直前までを追っている。その後はスケートボードで初出場を果たし、スノーボードでは金メダル獲得。平野は前人未到の二刀流を成し遂げた。それでも平野は新たな挑戦をはじめるだろう。本書を読んでいると、そのあくなき追求の姿勢こそが彼の「スタイル」だということが理解できる。

「自分の滑りに対してオリジナリティは持つべきだと思ってます。誰もやっていないことを形にしているということが、 俺にとってのスタイルです」(『Two-Sideways 二刀流』P118より)

 本書で、平野の笑顔が印象深い写真がふたつある。ひとつは、夢であり、憧れの存在であるショーン・ホワイトとの2ショットで見せた笑顔。そしてもう一つは巻末に掲載されている、2005年、7歳の時に日本海スケートパークで撮られた写真と、その16年後の2021年に同じ場所、同じポーズで撮った写真を並べた、彼の原点と歩みを象徴するような笑顔だ。

 平野歩夢にとって「二刀流」は、未知の地平へと進む現在進行形のスタイルでしかない。その貴重な瞬間をパッケージした、夢と歩みが満載の一冊だ。

■書籍情報
『Two-Sideways 二刀流』
平野歩夢 著
定価: 2,200円(本体2,000円+税)
発売日:2021年09月24日
判型:B5判
ページ数:144
出版社:KADOKAWA

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