女優・伊原六花が10代最後の写真集に込めた思い「たった1年でも人間は変われる」

伊原六花が語る、10代最後の写真集

 女優・伊原六花の3冊目となる写真集『R22』(ワニブックス)が3月20日に発売された。20歳直前にリリースされた前作から約1年10ヶ月ぶりの最新作。2020年秋から約1年間、季節が変わるごとに撮りためた写真が贅沢に収録されているほか、伊原六花本人により描き下ろしイラストも掲載。伊原六花の1年間の歩みと変化がありありと写し出された一冊となっている。

 写真集の撮影期間は、ミュージカル初出演となった『ロミオ&ジュリエット』(2021年上演)にてヒロインのジュリエット役を務めるなど、舞台に立つことが多かったという。高校卒業後、大阪から単身上京して約4年。女優として邁進するかたわら、本作の撮影で、祖父が暮らしていた第二の故郷·和歌山県龍神村を訪れ、流した涙。祖父への思いと、この1年間の変化を聞いた。(とり)


【インタビューの最後に、伊原六花さんのサイン入りチェキプレゼントあり】

大好きなおじいちゃんの家で

――1年かけての撮影、いかがでしたか?

伊原:最初に鎌倉で撮影した秋のキャンプシーンと、1年後の夏に撮影した南紀白浜のシーンとでは、顔つきが違って見えました。髪を切った影響もあると思いますが、この1年間で3本もの舞台に立たせていただき、ひとつひとつの作品に集中して取り組めたことが、何より大きい気がします。「あれもこれもやらなきゃ」といった焦りもなければ、必要以上に気を張ることもなくなり、まっすぐ役に向き合えたので、気持ちの面でもすごく落ち着いていましたね。完成した本作を見て、ハッキリとその変化に気づきました。1年かけて撮影するとお聞きしたとき、どう形になるのか全く想像できませんでしたけど、私にとっても大切な、見応えのある写真集になって良かったです。

――とはいえ、撮影に向けて体型を整える時間もあまりなかったのでは?

伊原:舞台中は、意識せずとも痩せるんです。ステージ上の移動や早着替えなどでたくさん動きますし、ミュージカルだと、歌もあるので。それに、本番前は何も食べないのが、舞台に立つうえでの私なりのこだわり。公演の3時間前に現場入りして、空腹のまま2時間半の舞台をやっていたら、勝手に痩せていました。さすがに夏の白浜に行くときは、水着での撮影もあったので、普段以上に筋トレを頑張りました(笑)。

――その白浜は、おじいさんが住まれていた第二の故郷なんだとか。

伊原:母方のおじいちゃんが白浜に。そこから車で1時間半ほど行ったところにある龍神村には、父方のおじいちゃんが住んでいました。どちらも、子どもの頃の思い出が詰まった大切な場所。毎年のように遊びに行っては、龍神村に住むおじいちゃんと梅干しを一緒に作ったり、川に行ってバーベキューをしたり、たくさん遊んでもらっていました。


――“おじいちゃんっ子”な子どもだったんですね。

伊原:はい。亡くなってしまった今も、ずっと大好きです。会うたびに「久しぶりー!」と声をかけてくれるような、明るい性格のおじいちゃんでした。家の柱にロープをくくりつけて、ブランコを作ってもらったこともあったなぁ。ロープが脆いから、こいではガンっと落ちまくっていたんですけど(笑)。あと「親には内緒ね」って、姉と妹とおじいちゃんの4人で、勝手に棚をあけてお菓子を食べた記憶もあります。

――思い出がいっぱいありますね。

伊原:そうなんです。龍神村に行ったのは中学生以来。だいたい8年ぶりくらい。この撮影のちょうど1年ほど前に亡くなったのですが、亡くなる前にはおじいちゃんも大阪に出ていたので、龍神村に行く機会もずっとなかったんです。家族みんなで「また行きたいね」って話はしていたんです。今回、遠い場所にもかかわらず、みなさんにお付き合いいただけて、本当にありがたかったです。

――空気感は当時と変わらずでした?

伊原:変わっていなかったです。偶然、おじいちゃんが住んでいた家の向かいに住むおじいさんに出会って。「孫なんです」と伝えると、おじいちゃんの家のなかに入れてもらえたんです。本作には写っていませんが、カーテンも当時のままで、匂いもそのまま。遊びに行った川の風景も当時と一緒だったので、本当にタイムスリップした感覚でした。改めて足を運ぶと、いろいろ込み上げてくるものがありました。

――当時と変わらぬ龍神村の風景を本作に収めることができて良かったですね。また、いつでも見返せますし。では、白浜での思い出は?

伊原:「とれとれ市場」です。白浜にある大きな海鮮マーケットで、私も白浜に行くと、必ず立ち寄っていた場所なんです。そこで食べたイカ焼きが美味しかったです。あと、ひと粒220円もする金粉がかかった「ダイヤモンド梅」という梅干しがあったんです。マネージャーさんに買ってもらって、一緒に食べました。


――いいですねぇ、食の思い出。ほかの場所では、どんなものを食べました?

伊原:カフェで撮っているシーンがあって、そこで食べた焼きカレーも美味しかったです。そこのカフェのオーナーさんが、以前お世話になったメイクさんの親戚だそうで。しかも、そのメイクさんとはじめてお会いしたとき、龍神村の話をしたんです。そうしたら、その夜におじいちゃんが亡くなったと連絡があったんです。不思議な縁を感じました。

――久々に龍神村に行けただけでなく、そんな繋がりまで。本作には、何か引き寄せる力があるのかもしれないですね。1年かけての撮影。スタッフさんとの距離もグッと近づきそうですが、チーム感はどうでした?

伊原:みんな自由人でありながら、似た雰囲気のスタッフさんたちが集まっていたので、わりと最初のうちから居心地が良かったです。白浜に行ったときも「美味しそうなパン屋さんを見つけたんだけど!」って、撮影の合間にみんなで立ち寄って。寄り道も多かったです(笑)。波長の合うみなさんとの撮影だったからこそ、私も気張らずに、のびのびとできたんじゃないかなぁ。

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