漫画×グラフィティの鮮烈な作風で話題! 『ガチアクタ』が切り拓く、新たな表現と戦い方

『ガチアクタ』の新たな表現

 漫画とグラフィティアートを融合させ、“異色新連載”として大きな話題を呼んでいる『ガチアクタ』(漫画・裏那圭 / graffiti design・晏童秀吉/メイン画像:『ガチアクタ』第一話より)。

 2022年2月16日発売の「週刊少年マガジン」12号からスタートした本作は、身に覚えのない罪を着せられて奈落へと追放された少年・ルドが、絶望のどん底から這い上がっていくダークファンタジーバトルだ。グラフィティアーティストの晏童秀吉氏が手掛ける作中の世界観や街並みは、禍々しくもあり、どこか目を奪われてしまう不思議な妖しさを漂わせている。

 読むだけではなく絵を見て物語を感じる。そんな漫画表現の新たな可能性を切り拓いた『ガチアクタ』だが、ダークファンタジーバトルの王道的な醍醐味を受け継ぎながらも、独自の要素を取り入れて描く“新たな戦い方”にも注目してほしい。

ダークファンタジーバトルの王道的な醍醐味、絶望と復讐

 まず、『ガチアクタ』の世界には明確な差別が存在する。街には境界線が引かれ、片方には「族民」と蔑まれる犯罪者の子孫たちが暮らすスラム街が広がる。ルドは、スラム街で常人離れした身体能力を武器に、ゴミを拾って修理販売することで生計を立てていたが、ある日育ての親を殺したという無実の罪を着せられて処刑されてしまう。

 処刑されたルドは奈落と呼ばれるゴミ溜めへと辿り着くが、それによって自分が暮らしていた世界が「天界」で、今いる奈落が「下界」であることを知る。ルドは、育ての親を殺した犯人を見つけて仇を討つため、そしてこの不条理な世界に復讐するために「下界」から「天界」へ這い上がろうと足掻く。

 陰鬱な空気が漂う世界観。そして主人公を待ち受ける地獄のような展開。どこまでも広がる絶望と、主人公の行動原理が復讐であるところは、まさにダークファンタジーバトルの王道的要素だ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる