バレンタインにぴったりな“読むチョコレート”? 『その男、甘党につき』のこだわりがスゴい

『その男、甘党につき』レビュー

 ウィズコロナのバレンタインも今年で3年目。一定の行動制限によりチョコレートを手渡しする機会が減ることが予測され、市場は縮小傾向にあるのかと思いきや、ここ最近は自分へのご褒美や家族など大切な人に向けてこだわりのチョコレートを探し求める人が多いようだ。

 その時々の状況に応じて、新たな楽しみ方が生まれ盛り上がりを見せているバレンタイン。今年は趣向を変えて、物語、装丁、全てから”チョコレート”を感じる短編集『その男、甘党につき』(えすとえむ)でバレンタインを楽しんでみるのはいかがだろうか?

チョコレートをこよなく愛する紳士の物語

 パリに暮らす敏腕弁護士のジャン・ルイは、大のチョコレート好き。仕事帰りに必ずショコラ専門店に立ち寄り、大量のチョコレートを食べるほどの偏愛っぷりを見せる彼の前には、様々な悩みを持つ男女が現れる。『その男、甘党につき』とは、ジャン・ルイがそんな彼ら彼女たちの悩みをショコラに喩えて解決していく物語だ。

 本作では、妻に愛想を尽かされた夫、失恋相手の結婚式に参列する女性など、甘いだけではなくほろ苦さを感じるような物語が上品で耽美な筆致で描かれている。また、その短い一話一話の中で、ショコラの小さな一粒の中にパティシエの様々な思いが詰まっているかのように、濃密なストーリー展開を味わえるところが魅力的だ。

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