『見える子ちゃん』霊を無視するヒロイン、四谷みこの魅力とは? 3つの角度から考察
ある日突然、この世ならざるものが見えるようになってしまった女子高生・四谷みこが、徹底的に霊を無視し続けるという設定が斬新な漫画『見える子ちゃん』。泉朝樹によって「WebComicアパンダ」にて連載されている作品で、2021年10月からはテレビアニメ化もされているホラーコメディだ。
ストーリー設定はもちろん、登場人物一人ひとりもキャラが立っているのが同作の魅力の一つ。そこで今回は四谷みこのヒロインとしての魅力を考えてみたい。
まず彼女の魅力ポイントとして挙げたいのは、異形の霊が目の前に現れた際、恐怖のあまり泣きそうになっているのを我慢している姿だ。みこはある日突然霊が見えるようになった、ただの女子高生。作中自身でも言っているが、単に見えるだけで、除霊ができたり襲ってくる霊と戦ったりと何かできるわけではない。だからこそ、みこがやっていることは“徹底的な無視”。女子高生が霊を無視し続けるという行為こそ、この作品のキーポイントだ。今まで見えていなかったものが急に見えるようになったら、想像を絶する恐怖を感じることは想像に難くない。みこも例外ではなく、気付かないフリをしていたとしてもいつも泣きそうになっている。泣いてしまうと、霊に“見えている”と気付かれてしまうためみこは涙を我慢しているのだが、その姿がなんとも健気でかわいらしい。当の本人にとってはたまったものではないのだが、読者からすると心から応援せざるを得ないほどなのである。
こうして涙を我慢している時に起こる、みこの心の声と素振りのギャップもポイントだろう。傍から見れば、クールな女子高生が何でも無い行動をしているだけだが、霊が見えているみこの頭の中はフル回転。例えば、第8話。自販機に飲み物を買いに行った時に遭遇した小さいおじさんを追って路地裏に行くと、大きなおじさんの霊に遭遇してしまう。見えないフリをして落とした500円を拾おうとするも、「早く拾って逃げなきゃ…」、「今逃げたら追いかけてくるかも」、「ヤバい、顔でかっ…怖い」、「手が震え…っ」、「落ち着かなきゃバレちゃう…」などなど心の声は止まらない。涙目になってはいるものの、何も事情を知らない人から見れば至って普通の行動だ。しかし、みこの場合心の声が赤裸々に明かされているため、ギャップが感じられて魅力へと繋がっている。