【連載:本と芸人】ラバーガールが語る、小説から受ける“刺激”と“絶望” 「創作者のすごさがわかってイヤになっちゃう」

「本と芸人」第4回:ラバーガール

 お笑い芸人にオススメの本や漫画を紹介してもらう連載企画『本と芸人』。第4回に登場するのは、8月26日~28日まで東京・本多劇場で約2年5カ月ぶりの単独ライブ『史上最高の夏!』を開催するラバーガール(飛永翼/大水洋介)。

 今回は、単独ライブのタイトルにちなんで、大水に“夏にぴったりな1冊”を紹介してもらいつつ、それぞれのオススメの本を1冊ずつ合わせて教えてもらった。(タカモトアキ)

夏にピッタリな1冊、それぞれのオススメの1冊は?

『恐怖箱 青森乃怪』(高田公太/竹書房文庫)

高田公太『恐怖箱 青森乃怪』(竹書房文庫)
高田公太『恐怖箱 青森乃怪』(竹書房文庫)

大水:今の季節にオススメの本として選びました。大体が青森を舞台としたもので、お化けが出てくる怖い話もあれば、数年前に死んだ自分の母親が出てくるようなホッコリとする不思議なお話も描かれていて。しかも、登場人物たちの会話はすべて津軽弁。青森出身の僕でさえ、あんまり使わないなって思うくらいディープな方言が使われてるんですけど、標準語の訳も付いてるので津軽弁の勉強にもなる1冊です。

飛永:作者の方は、シソンヌのじろうさんの学生時代の同級生なんだっけ?

大水:たしかそう。青森の新聞社で働きつつ、小説も書かれていて。

飛永:僕らが青森でライブをやるたびに取材してくださってるんです。実はこの本、僕もいただいたんですけど、読まなきゃなぁって思いながら何度目かの夏を過ごしています(笑)。

『新装版 女の人差し指』(向田邦子/文春文庫)

向田邦子『新装版 女の人差し指』(文春文庫)
向田邦子『新装版 女の人差し指』(文春文庫)

大水:もう1冊のオススメは、向田邦子さんのエッセイ。向田さんは元々、ドラマ『あうん』とか『父の詫び状』が好きで、その後、小説やエッセイも読むようになりました。向田さんって難しい言葉を使っているわけではなく、言葉の組み合わせだったり、鋭い観察眼だったりがすごく面白くて。自分の心の小ささについて細かく書いていたり、いろんな人の嫌なところもただ嫌だと書くのではなく、“こんな人いるわよね”みたいな許容を感じる表現が心地いいんです。僕、1冊目の作家さんの元、青森の新聞でエッセイの連載をやってるんですけど、ちょっとでもこんな文章を書きたいなぁと思いながら、エッセイを書く前に向田さんのエッセイを読んで刺激をもらってるんです。難しい言葉を知らない中でも、なんとかうまい文章を書けるようになりたいなぁと思って。

飛永:執筆ってネタ作りに近いのかも知れないね。ネタもなるべくみんなが知ってる言葉で語順だったり、スピード感のある会話だったりを表現するから。自分たちのコントでも、難しい言葉や専門的な言葉は使わないようにしてるし。

大水:たしかにそうだね。

『ネコの手も貸したい 及川眠子流作詞術』(及川眠子/リットーミュージック)

及川眠子『ネコの手も貸したい 及川眠子流作詞術』(リットーミュージック)
及川眠子『ネコの手も貸したい 及川眠子流作詞術』(リットーミュージック)

飛永:最後の1冊は、僕が選びました。あんまり本を読まないんですけど、何回も読み返した本で。僕、一時期、作詞をやってみたいなと思った時期があったんです。で、ハウツー本を探して行き当たったのが、『新世紀エヴァンゲリオン』主題歌の作詞を担当された及川さんの本だったんです。及川さんは職業作詞家といいますか、(書きたいものだけを書くのではなく)依頼に沿った作詞するプロだと自負されている方なんですけど、芸人にも通じるところがあるなと思いまして。例えば山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」は桜木町っていう身近な場所をワードとして使うことがそれまでにない新しいことだったらしいんです。あと、やしきたかじんさんの曲もそうで。関西弁としては正しくないけど、歌としてはこのワードのほうが合ってるとか解説されていて。芸人もみんな、オリジナルフレーズをネタに練り込んでますし、言葉のリズム感が大事なので、すごく勉強になるんですよ。

大水:だから、何回も読んでるんだ。

飛永:長く文章を読むことはできないけど、パッとめくったところを何度も読んだりはしてる。何回読んでも、たしかにそうだなぁと思えるから。

大水:一応確認するけど、何度も読むのは覚えてないからっていうわけじゃないよね?

飛永:(笑)。覚えてないわけじゃない。けど、ちょっと忘れちゃってるから何度も読んでるのかもしれない。



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