『ガラスの仮面』宿命のライバル・姫川亜弓のカッコよすぎてしびれるエピソード3選
ライバルを残したまま紅天女を演じられないと言い切る亜弓(20巻)
紅天女を演じることは、亜弓にとって幼少期からの夢だった。マヤというライバルと巡り合い、彼女はマヤと演技で勝負し勝って「紅天女」を演じたいと思うようになった。
亜弓はひとり芝居「ジュリエット」でアカデミー芸術大賞を受賞する。パーティー会場にマヤが行くと、亜弓は「あなたがお祝いに来てくださったなんてうれしいわ。誰よりも」と喜ぶ。
その時点で既にかっこいいのだが、月影千草が現われ、次の紅天女は姫川亜弓だと宣言する。どよめく客たちとショックを受けるマヤ。亜弓は複雑な表情をしている。
直後に月影はひとつ条件をつける。マヤが2年の間に、亜弓と同じ芸術大賞か、全日本演劇協会の最優秀演技賞を受賞すれば、亜弓と共に紅天女候補になれると言うのだ。
この頃のマヤは芸能界から追放されて間もなかった。大好評を博したとはいえ、学校でしか舞台に立てていない。紅天女への道は断たれているようなものだ。
月影と亜弓、マヤを愛する真澄以外のほとんどの人が、亜弓が紅天女に決まったも同然と見なし、取り巻きが亜弓を祝う。しかし亜弓は彼らを無視し、真剣な表情でマヤに歩み寄る。
そして再び「まっているわ」と述べる。その言葉は以前より強く響く。
もし棄権なんてマネをしたらわたしあなたを軽蔑するわよ!
いいわね 2年よ!
あなたはきっとわたしと「紅天女」を競うのよ!
亜弓の取り巻きは、マヤより亜弓のほうが実力があると信じ切っているため、驚愕して亜弓に駆け寄る。
しかし亜弓は、ライバルを残したまま紅天女を演じられない、自分はまだ一度もマヤに勝ったと思ったことがないと言い放つのだった。
感情移入できるのはマヤか亜弓か
49巻(最新刊)では、亜弓の前にとてつもない困難が立ちふさがり、紅天女を演じるのがどちらになるのかわからない事態になっている。
通常なら、結末は“主人公が勝って終わり”が王道だ。だが、姫川亜弓はマヤのライバルであると同時にもう一人の主人公である。物語の中心に立つ人物にふさわしい、カッコよさもある。
「マヤ派」「亜弓派」という言葉は、20年以上前からずっと耳にしている。『ガラスの仮面』49巻が発売されたのは2012年のこと。次巻の刊行が待たれてならない。
■書籍情報
『ガラスの仮面』
美内すずえ 著
定価:495円(税込)
出版社:白泉社