超能力者、ホームレス、ラーメン三銃士……『美味しんぼ』謎のキャラクターを考察
富井副部長
『美味しんぼ』でも屈指の謎を持つ人物と言えば、富井副部長だろう。数々の失態や、部下への嫌味、露骨なごますりなど、同じ職場では働きたくないと感じてしまうような中間管理職者である。
ところが東西新聞社という大きなメディアで文化部副部長を務め、後に部長代理にまで昇進。さらに山岡や栗田ら、文化部のメンバーとの関係も概ね良好で、飲みに出かけるケースや、数多くの失態をカバーしてもらうなど、一定の人望も持っている。
富井副部長が「なぜ出世できたのか」は、美味しんぼ最大のミステリーなのかもしれない。
中松警部
銀座中央署勤務の警察官、中松警部。警察官として日々職務を全うする彼だが、作品中、ところどころで「謎の権力」を発揮する。
2巻では、営業許可証を持たずにそば屋の屋台を出していた店主を警察官が咎め、営業を中止させようとすると強引に介入し、「もりを作ってうまかったら許可証はなんとかしてやる」と持ちかけている。しかも「そばは及第点」「心意気が気に入った」と勝手に1ヶ月の無許可営業を認めてしまった。
また、3巻でも、街のど真ん中で鰻裂きを持って暴れまわった老舗うなぎ屋の板前・金三の犯罪を事実上もみ消すと、山岡の計らいで板山社長が経営するニューギンザデパートのグルメストリートに隣接する大江戸物産展で鰻屋を出し、金三にそこで働くよう持ちかける。金三が拒否すると、「言うことを聞かねえんなら、殺人未遂なり食らわせてもいいんだぜ」と啖呵を切った。
このほかにも「ブタ箱にぶちこむぞ」などと発言する、犯罪をもみ消すなどの行為をしていた中松警部。詳細は不明だが、一警部以上の権力を有しているように見受けられた。
謎多き人物たちは作品の功労者?
『美味しんぼ』に登場する謎多き人物たち。彼らも人気作品に押し上げた功労者といえるだろう。