復活する『お笑いマンガ道場』は令和にバズる? SNS時代との相性を考える
『お笑いマンガ道場』にはアイドルグループ「ゴールデン・ハーフ」のエバや、後に女優となって大活躍する川島なお美が出演して、漫画が巧いのはおじさんたちだけではないことを見せてくれた。バラドルの走りでもあった。『復活!令和もお笑い漫画道場』にはタレントの重盛さと美が出演するが、バラエティ番組などで披露している似顔絵はとてもユニークなタッチのものばかりだ。古い『お笑いマンガ道場』ファンなら、ずうとるびの江藤博利が担った、アバンギャルド漫画の枠に誰が収まるかも気になっている。重盛はそこにハマるのか。想像するだけでワクワクしてくる。
手塚治虫の『ブラック・ジャック』や藤子・F・不二雄の『ドラえもん』が連載されていた時代とはいえ、『お笑いマンガ道場』が始まった1976年当時、漫画は今ほどポップカルチャーの最先端を行くものといった捉えられ方はされていなかった。そんな時代に堂々と「マンガ」という言葉をタイトルに使い、漫画の面白さを前面に出した番組が放送されたことで、世間の漫画に対する意識に影響があったかもしれない。
結果、漫画があらゆる場面に登場するようになった時代に、『お笑いマンガ道場』が再登場しても、ノスタルジーの中で消費されかねない心懸念がある。もっとも、TwitterやInstagramやTikTokといった、短い中にインパクトの大きな表現を盛り込むことで、広範囲にバズって注目を集められる時代でもある。
『お笑いマンガ道場』で行われていたフリップに描いたひとコマの漫画で驚かせ、面白がらせて感じ入らせる手法は、番組放送当時にはなかったSNSというプラットフォームを使って、バズる表現を行うためのヒントをもたらしてくれるかもしれない。
■タニグチリウイチ
愛知県生まれ、書評家・ライター。ライトノベルを中心に『SFマガジン』『ミステリマガジン』で書評を執筆、本の雑誌社『おすすめ文庫王国』でもライトノベルのベスト10を紹介。文庫解説では越谷オサム『いとみち』3部作をすべて担当。小学館の『漫画家本』シリーズに細野不二彦、一ノ関圭、小山ゆうらの作品評を執筆。2019年3月まで勤務していた新聞社ではアニメやゲームの記事を良く手がけ、退職後もアニメや映画の監督インタビュー、エンタメ系イベントのリポートなどを各所に執筆。
■番組情報
『復活!令和もお笑いマンガ道場』
配信日時:2021年8月上旬~配信スタート
※毎週土曜日17時に配信
※全6回予定
※YouTubeにて配信予定
出演者:【MC】柏村武昭、磯貝初奈(中京テレビアナウンサー)
回答者:車だん吉、島本和彦、くっきー!(野性爆弾)、土屋伸之(ナイツ)、重盛さと美