『ギャングキング』柳内大樹が語る、連載17年の気付き 「売れてる人はみんな優しい」
『北の国から』を流しながらの作業
――漫画を描くにあたってこれは欠かせないという音楽や映像作品って何かありますか?
柳内:仕事中にあまり音楽は聴かないんですが、テンションを上げたいときは自分の人生を変えてくれたTHE BLUE HEARTSですね。あとは10‐FEETもテンション上がりますね。それとROTTENGRAFFTY、竹原ピストルさん、浜田ケンジさんも聴いてます。あと洋楽だとCarpenters、Oasis、Bruno Mars、Luis Fonsiですかね。
でも音楽よりは映像で、DVDで『北の国から』を流したり、YouTubeやNHKの歴史番組を流したりしてますね。普段、時間のあるときは映画もよく観ていて、『SEVEN☆STAR MEN SOUL』なんか影響受けてますけど、(クエンティン・)タランティーノやガイ・リッチーは好きです。
―――これから描いてみたい作品はありますか?
柳内:描きたいものが多すぎて、死ぬまでにどのくらい描けるかなって考えるんですよね。『儚いくん SUBARASHIKI KANA JINSEI』や『幸っちゃんさん』っていう読み切りの名前シリーズがあって、自分でもすごく気に入っているんですが、それこそ死ぬまでに何冊できるかなって。
死ぬ間際に『大樹くん』って作って、自分の人生を描いちゃったりしてね(笑)。とにかく漫画を描いていれば楽しいんです。考えることが好きで、散歩しているときもひとりで妄想して笑ってるんですよ。絵となると体力勝負で、なかなかしんどくはあるんですけどね。
――その絵の話で言うと、『ギャングキング』の原画集『プラチナ』と『ゴールド』が販売になりますね。
柳内:果たして、皆さんに喜んでいただけるのかどうか……。でも、キャラクターひとりひとりのシリーズなんかは、自分で見ていても趣があって楽しいかなと。ジミー、バンコ、サイコ、ゾンビ、キャンディ……と、並べて飾ってもらえたりしたら嬉しいですね。
――あらためて完結記念ということで、『ギャングキング』は先生にとってどういう作品になりましたか?
柳内:単純に昔は、売れる・売れないに関係なく描きたいものを描いて「読みたかったら読んでください」ってスタンスがカッコいいと思っていたんです。でも歳をとって変わってきて、“優しい”がカッコいいって思うようになりました。そのときに売れてる人って優しいんだと思ったんですよね。多くの人を楽しませて喜ばせて、その人の漫画を読んで頑張ろうって思わせるって、すごく優しいことじゃないですか。
そこから自分も多くの人に読んでもらって楽しんでほしいって考えるようになって。初めてそれに気づかせてくれたのが、『ギャングキング』の後半だったんです。そういう意味では、すごく感謝、感謝の作品ではありますね。いろんなことに気づかせてもらえた作品です。
まぁ、17年もかけて描いたんだから、いろんなことに気づかないほうがおかしいですけどね(笑)。
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『ギャングキング(37)』
柳内大樹 著
定価:本体650円+税
出版社:講談社