サッカー×デスゲーム『ブルーロック』はイカれてる? 世界一のストライカーを生み出す狂気のシステム

サッカー×デスゲームの魅力

 “史上最もイカれたサッカー漫画”と名高い、「週刊少年マガジン」が誇るデスゲームサッカー漫画『ブルーロック』(講談社)。“FWの選手のみを集めて軟禁し競わせる”、“エゴ剥き出しの主人公”など、スポーツ漫画としては異色な設定が目立つ本作は、なぜ令和最高売り上げを記録するサッカー漫画となるまでに至ったのか。日本の漫画ファン、そしてサッカーファンまでも震撼させた革新的な内容から、そのサッカー×デスゲームの魅力を考察していく。

世界一のストライカーを生み出すためのシステム”青い監獄”

 埼玉県大会決勝、1点ビハインドで試合終盤を迎えた一難高校のFW・潔世一は、ラストパスを味方に外され、全国大会出場を逃してしまう。全国大会出場を決めた相手チームのスーパースター、吉良涼介のヒーローインタビューを聞きながら、励ましあうサッカー部の面々を冷めた表情で見つめる潔。そんな潔のもとに、日本フットボール協会から強化指定選手としての召集が掛かる。なぜ自分なんかがと戸惑いながらも指定場所に足を運ぶと、そこには吉良を含む全国で名を轟かせる18歳以下の“ストライカー”達がいた。

 そこに現れた絵心甚八と名乗る男は、集まった300人のストライカー達に「俺は日本をW杯優勝させるために雇われた人間だ」と告げる。「W杯優勝のため日本に足りないのは、革命的なストライカーの存在」だと話す絵心は、世界一のストライカーを生み出すためのシステム”青い監獄”(ブルーロック)について話し始めた。「家にも帰れず脱落すれば未来永劫日本代表となる権利を失うが、ブルーロックで299名を蹴散らし勝ち抜けば世界イチのストライカーになれる」と断言する絵心。現在の日本代表選手すら侮辱する絵心に反論するストライカー達だが、絵心の「世界イチのエゴイストでなければ、世界イチのストライカーにはなれない」という言葉に、潔は心震わせていた。そして「イカれたエゴイストだけこの先へ進め」と開かれる扉。潔は誰よりも早く、その扉へと突き進んでいく。

 題材は紛れもなくサッカーでありながら、「閉鎖された施設にて同じポジションの300人で戦い、負ければ夢破れる」というデスゲームの要素を色濃く取り入れた本作。原作者が『神さまの言うとおり』でお馴染みの金城宗幸なだけあり、その設定は非常に残酷で秀逸だ。

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