中村倫也が語る、初エッセイでさらけ出した本音 「“役者だから”という前置きはなくなりました」
お母さんとお兄さんとの週イチDVD鑑賞会の思い出
――ところで、好きな作家さんはいますか? たとえば無人島に1冊持っていくなら、コレという本とか。
中村:ごめんなさい、なんにもないです。僕、本を読んできていないので(笑)。この仕事を始めてからは、いろんな小説を読んだり、原作本を読んだりといった機会もありますけど、個人としてはほとんど本を読まない人間なんです。漫画ばっか読んでいる子どもです(笑)。
――では、なにか漫画を持っていくなら?
中村:うーん……。『こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)』かな。全巻ごっそり(笑)。1、2巻で終わっちゃうものを持って行っても、時間を潰せないから、『こち亀』全巻で(笑)。――エンタメ関連ですと、エッセイの中に、お母さんとお兄さんとの週イチDVD鑑賞会のエピソードが登場します。お母さんやお兄さんの希望で観たのだけれど、すごくハマった作品は?
中村:エッセイに重なりますが、『セブン』とか『フォレスト・ガンプ/一期一会』なんかは、母が選んだものですけど、今でも見返すような作品になっています。僕自身は『名探偵コナン』とか、兄貴はガンダムとか格闘ロボット系とか、あと僕ら2人で仮面ライダーとかゴジラとかの特撮系なんかを選んでいたので、あのころ観た洋画はほとんど母のセレクトです。今、思い返すと、「母は映画が好きだったんだな」と思いますね。
――その週イチのイベントは、中村さんとお兄さんがじゃんけんをして、中村さんが勝つとレンタル屋さんへ、お兄さんが勝つとプラモデル屋さんに行くことになっていたとか。
中村:母は、きっと僕に勝ってほしいと思っていたでしょうね。
――ほとんど中村さんが勝っていたそうですが、お兄さんが勝たせてくれていたのではなく?
中村:違います。兄はいつもチョキを出すんですが、勝たせるためにとか、そんな器用なことができる兄じゃないです。プレステのゲームをするときも、兄が負けるとイライラするので、僕が負けてあげていました(笑)。たぶん、いまでもチョキを出すと思いますよ。
役者の仕事は「誰かにとっての人生の1本になる可能性がある」
――今は映画の出演者側となり、デビューから15年を越えました。「中村さんの出演していたあの作品が、大切な1本なんです」といった後輩やスタッフに会ったことはありませんか?
中村:ないです。言われたいです(笑)。「この間やってた連ドラ見てました」みたいな挨拶はありますよ。でも「あのときのあの映画が」みたいなのはないですね。だいだい自分の代表作みたいなものもまだないですから。いつかそんなことがあったら嬉しいですけど。
――読者には、中村さんの作品が「思い入れのある大切な1本」だという人もいるかと。
中村:そういう「誰かにとっての人生の1本になる可能性がある」のが、この仕事だとは思いますね。それってとてもステキな出会いの奇跡というか。もしかしたら、今やっている作品が、誰かのそうした1本になるかもしれないと思うから、毎回頑張っている部分はあります。
――エッセイには、昨年の自粛期間中のことも登場しますが、中村さんは自粛期間中もYouTubeやTwitterなどで、日々発信されていました。
中村:世の中のエンターテインメントが止まっているなかで、どんなことが自分にできて、誰も損をしないだろうか、何か生み出せるものはないかなと色々考えました。そこから、自分は普段フィクションの世界にいる人間だけれど、日常が180度変わったとき、逆に自分の日常風なものをダラダラとてらいなくさらけ出すことが、逆に非日常に、表現になるんじゃないかという思いが湧いて。絵を描いたりしたのも、自分のワールドで、誰かがクスっとしてくれればいいなとか、家にずっといることで参っているお母さんのためにも絵本を作ろうかなとか、菅田将暉から「何かやりましょう」と言われて曲を作ったりといった表現もしていきました。
――いつも中村さんの中にある、人を「ワクワクさせたい」という思いがこのときもあったのでしょうか。
中村:あの期間は、ワクワクというよりも、穏やかさを出せたらいいなと。ふとしたことで笑えたり、心地よさを覚えてもらえたり。あの頃って、というか、今もまだ続いていますが、自分自身もそうですけれど、どうしても心がささくれ立ったり、ピリつくムードがありましたよね。見えない不安が世の中全体を覆っていた。じゃあ、そうじゃないものを出そうと垂れ流していました(笑)。この本もそうですが、これが世に出ることで、役者の仕事や作品と同じように、誰かにとっての何かに、ちょっとでもなれば、少しは意義があるのかなと思っています。また書くのはしんどいですが、なんだかんだ楽しかったですね(笑)。
■書籍情報
『THE やんごとなき雑談』
著者:中村倫也
出版社:KADOKAWA
発売日:3月18日
定価:1,320円(本体1,200円+税)
公式サイト
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