オンライン飲み会、ゲーム課金中毒、プロゲーマー……『こち亀』の未来予見エピソード4選

「こち亀」の魅力は奇想天外なアイデア?

 秋本治原作の大人気漫画、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。1976年から2016年まで『週刊少年ジャンプ』に連載され、最も発行部数が多い単一漫画シリーズとしてギネスブックにも載る名作だ。

 長期間連載された「こち亀」のなかには、作品中に登場した当時奇想天外とされたアイデアが、時を越えて現実のものになることが多々あった。代表的なものを検証してみたい。

オンライン飲み会

 新型コロナウイルスの感染拡大とインターネットの普及によって「オンライン」でのコミュニケーションが主流になりつつある昨今だが、このアイデアは1988年に「こち亀」ですでに予見されていた。

 そのアイデアが披露されたのは、両津勘吉がアルバイトに訪れた会社。全国に散らばった人にクラス会を提供するため、参加者分のカメラ付きテレビを一箇所に集め、配置する。参加者にはカメラ付きのテレビが配送されており、一斉に映し出す。

 カメラ付きのテレビを双方に設置することで、遠方の相手と会話することが可能になる。ただし、一画面で全参加者分の顔を確認することは出来なかったため、両津らアルバイトがテレビの向きを動かすことで対応した。(59巻)

 現代と若干技術の違いはあるものの、発想は現在のSkypeやZOOMといった会話システム、そしてオンライン飲み会や会議とほぼ一緒。インターネットはもちろん、携帯電話もなかった80年代にこのアイデアが漫画で発信されていたとは驚きだ。

ゲーム課金システム

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(98巻)

 現在スマートフォンのゲームなどでは、課金することで有利になるアイテムを購入し、優位に進めていくことが主流となっている。

 この形態も「こち亀」で披露されていた。本田が、購入したパソコン恋愛シミュレーションゲームを始めると、登場する女性が「電話をかけて」と懇願し、指定した番号にかけさせる。本田は電話をかけ、「声がする」と感動した。

 さらに女性がショッピングを始めると「洋服欲しいわ」「あなたのキャッシュカードの名前と会員ナンバーを教えて」と、課金要求。本田はなんの疑いもなく電話で教えてしまう。すると女性キャラのおねだりはエスカレートし、水着やコートを要求する。様子を見ていた両津は「買って買って攻撃だ。本田、現金で金とられてるぞ」と絶句。中川も「ヤバいパターンですね」と冷や汗をかく。

 極めつけに女性は150万円の車を要求。これにも「買ってあげる~」と叫ぶ本田に、両津は「誰か本田を止めろ」と焦る。そして中川が「もう買い物を止めてください」と止めた。(98巻)

 現在のスマートフォンゲームではキャッシュカードを通じて課金する形態は珍しくない。ゲームの高額課金も社会問題化したことがある。「こち亀」は家庭用ゲーム機が主流だった1996年に高額課金の危険性を指摘していたのだ。

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