『鬼滅の刃 外伝』が描く、ふたりの柱の生き様とは? 冨岡と煉獄、それぞれの過去
また、本作を読めば、あらためて煉獄杏寿郎という漢(おとこ)のまっすぐな魂に胸を打たれることだろう。「心を燃やせ」、あるいは、「俺は俺の責務を全うする」というのはもはや今年の流行語のひとつといっていいだろうが、本作の重要な場面でもその「決め台詞」を煉獄は大声で叫ぶ。そして、炎立(ほむらた)つ剣で鬼を斬るのだった……。
思えば、今回の『外伝』に収録されている2作の主人公たちは、いずれも原作の主人公である竈門炭治郎にとって、もっとも重要なメンター(導き手)であった。冨岡は雪山で竈門兄妹を信じて彼らに「未来」を託し、煉獄は煉獄で、剣士としての――いや、人間としての誇りを炭治郎に教えて散華したのだ。つまり、このふたりがいたからこそ、『鬼滅の刃』という物語は大きく動いたといっていい。
いずれにせよ、本書を読んだのち、あらためて原作を最初から読み返してみれば、何かしらの発見もあることだろう。少なくとも、冨岡の想いと煉獄の熱き生き様をふたたび目にして、“何か”を感じ取ることはできるはずだ。
■島田一志……1969年生まれ。ライター、編集者。『九龍』元編集長。近年では小学館の『漫画家本』シリーズを企画。著書・共著に『ワルの漫画術』『漫画家、映画を語る。』『マンガの現在地!』などがある。https://twitter.com/kazzshi69
■書籍情報
『鬼滅の刃 外伝』
著者:平野稜二
発売日:2020年12月4日
価格:本体460円+税
ジャンプサイト内ページ