嵐・大野智、最新アート本『FREESTYLE』で明かしたファンへの想いーー多彩な作風はなにを表現している?
嵐・大野智が10月8日に発売したアート本『FREESTYLE 2020 SATOSHI OHNO EXHIBITION』は、もうご覧になっただろうか。同作は、2020年9月9日から11月8日まで六本木ヒルズ・東京シティビューで開催されていた『FREESTYLE 2020 大野智 作品展』の開催を記念した作られたものだ。20点の新作絵画をはじめ、過去の作品、制作時のメイキングカット、ロングインタビューなどが掲載されており、ファンならずとも見応えたっぷりの1冊である。
その『FREESTYLE 2020 SATOSHI OHNO EXHIBITION』を見て、月並みではあるが改めて大野の多才さに目を見張った。「めっちゃ面白い」と大野が語る、アクリル樹脂をキャンバスに振りかけるようにして描く抽象画(アクション・ペインティング)は、これまでとは違った味が楽しめる。彼の十八番とも言える「ヘッドフィギュア」作品は、同じ表情であるにも関わらず全てが別の生物に見え、見比べるのが面白い。使う色、アイテム一つで、ここまで見え方が変わるということに気づかせてくれる。『大野智作品展 FREESTYLEⅡ』の展示品でもあり、作業場にも置いてあったという「ちゃぶ台」は、“汚し”をかけるために個展チームで鍋パーティーをしたり、作業中にカンパチを食べたりと、実際に“ちゃぶ台”として使い、味を出していったという。こうして平面作品だけでなく立体作品を制作できる大野は、確実にマルチな才能の持ち主であり、もともとの感性が天才的なんだろうと感じる。
そして、大きな話題にもなった2273×1620mmの巨大な細密画。約2週間で描き上げたとは思えない量の描き込みがされており、一つひとつじっくり読み解くのが面白い。大野が「連想ゲームのような感覚で描いた時もある」と語っていることを考えると、じっくり見ることで大野の思考回路を知ることができるヒントになるかもしれない。本として手元にあるからこその楽しみ方だ。例えば、巨大細密画には、嵐メンバーの漢字が入っている。これについて、「特に理由はないんだけどね。『もうちょっと文字を入れたいな。何がいいかな? あっ、メンバーの文字を入れよう!』って感じ」と語っており、言わずもがな大野の頭の中には当たり前のように、自然に、メンバーが存在しているということが分かる。
次に、大野の飼い犬であるパグの絵。ロングインタビューの中で、『大野智作品展 FREESTYLEⅡ』でのパグの絵について反省の言葉を多々並べていた大野。「パグ」というワードと謝罪の言葉がこれでもかというほど出てきており、心底「申し訳なかった」と思っているのが伝わってくる。この先大野がアート活動をしていく上で、本人としてもずっと引っかかっていくものであっただろうし、ファンの心境を考えた時にもとことん向き合わなければならなかった題材だったのだろう。そして、新作のパグの絵を見ると、大野の気合いが伝わってくる出来栄えである。一見シンプルに見えるが、よく見ると「一体何色使っているんだ?」と思うほど色が重なっており、独特な色合いになっている。