『BLEACH』ヒロイン・井上織姫は一護たちをどう変化させた? 太陽のような愛を振り返って
一護以外にも平等に注ぐ愛
雨の日と言えば、ルキアが慕っていた海燕が亡くなったのも雨の日だった。客観的に見れば、ルキアは一護の運命を変えた人物で、重要な立ち位置にいる。嫉妬していると自覚しつつも、織姫はその想いをルキアにぶつけることはしない。むしろ戦いで力になれないことが寂しいと伝え、ルキアも本音で答える。やがて織姫は、ルキアの友人へとなっていく。
織姫に変化をもたらされていたのは、敵だったウルキオラもそうだろう。誰にも興味を持たず、冷酷なウルキオラだが、分け隔てない態度で接する織姫に次第に「心」というものを知っていく。織姫もまた、ウルキオラと一護の戦いに複雑な表情を見せる。一護に敗れ消えていくな刹那、ウルキオラは織姫に向かって手を伸ばし問いかける。
「俺が怖いか」
「こわくないよ」
織姫の回答にウルキオラは「心」を感じて消えていく。
「これがそうか。この掌にあるものが 心か」
自分を拉致し、自分が愛する人をぎりぎりまで追い詰めた敵。そんな相手にさえも愛を持って接することができる。織姫は「愛されること」が当たり前ではないと知っている。だからこそ、「愛すること」の大切さもわかる。太陽が地を平等に照らすように、織姫の優しさも平等なのだろう。
(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))
■書籍情報
『BLEACH』(ジャンプ・コミックス)74巻完結
著者:久保帯人
出版社:株式会社 集英社
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