『キン肉マン』2000万パワーズ、“名タッグ”として語り継がれる理由 プロレス視点のベストバウトを考察
そしていよいよクライマックス。窮地に追い込まれた2000万パワーズは、おそらくぶっつけ本番の合体技に全てをかける。そう、ロングホーントレインである。四肢を封じられたバッファローマンをモンゴルマンが担いで相手に突進するという、どう考えてもバッファローマン単独のハリケーンミキサーの方が強力そうなそのツープラトン技により、バッファローマンのロングホーンがネジケンの2人をまとめて貫き、見事2000万パワーズの勝利で幕を終えた。
実際ジャンプでは3週程度で終わったこの試合だが(笑)、ネジケンコンビの乱入から始まり最初の攻勢〜逆襲された途端に凶器攻撃〜反撃に転じるも逆転負け〜実は完璧超人サイドの鉄砲玉でしたという小物ヒールとしての見事な試合運びによって、2000万パワーズの強さを印象付けるという、そのセールっぷりは完璧だったと言えよう。その後のヘル・ミッショネルズ対2000万パワーズの戦いがあれだけ盛り上がったのも、ネジケンが2000万パワーズと、そしてヘル・ミッショネルズの格をしっかりと上げたことが大きな要因のひとつであろう。
実質、2試合しかコンビを組んでいない2000万パワーズ。そして戦績も1勝1敗、しかもその1敗は完膚なきまでに叩きのめされているのにもかかわらず、何十年経っても名タッグチームとして語り継がれ人々の記憶に残っているのは、やはりこの2人がタッグチームの魅力をその2試合で存分に見せつけてくれたからに違いない。願わくば今回の最新章で、復活した2000万パワーズの戦いが見たいものだ。
■関口裕一(せきぐち ゆういち)
スポーツライター。スポーツ・ライフスタイル・ウェブマガジン『MELOS(メロス)』などを中心に、芸能、ゲーム、モノ関係の媒体で執筆。他に2.5次元舞台のビジュアル撮影のディレクションも担当。
■書籍情報
『キン肉マン(1)』
ゆでたまご 著
価格:本体440円+税
出版社:集英社
公式サイト