『僕のヒーローアカデミア』梅雨ちゃんが愛される理由とは? 心優しき「精神的支柱」の役割
ヒーローを目指す高校生たちを描く『僕のヒーローアカデミア』。今回ピックアップするのは梅雨入りヒーロー“フロッピー”こと蛙吹梅雨。梅雨ちゃんの愛称で親しまれる彼女の個性は“蛙”とあるように、全体的にカエルっぽい見た目でありながら愛らしさもあるキャラデザは秀逸で、作者自身も「気に入っている」と語る。実は読者からの人気も高く、第1回人気投票では6位に選ばれている。
漫画内でも体育祭の1次予選では13位、学力も6位と優秀な成績を収めている。爆轟や八百万といった他のキャラと比較すると決して目立ったキャラではないが、期末試験や対ヴィランでは現状を的確に見極めた行動で、共闘した仲間を支えている。
ポーカーフェイスだが誰よりも仲間想いな蛙吹梅雨の魅力に迫る。
冷静な判断で窮地を救う、個性も有能な万能型
蛙吹の個性である蛙は、
「蛙っぽいことはだいたいできるぞ!! さすが!」
(『僕のヒーローアカデミア』2巻より)
との謳い文句通り、跳躍・壁に貼りつく・舌を長く伸ばす(最長20m)といった能力を持つ。
USJでヴィランの襲撃を受けた際は共に水難ゾーンに飛ばされた緑谷・峰田を跳躍と伸びる舌を使い、いち早く回収しヴィランの攻撃を退けた。期末試験では「胃袋の中身を出し入れできる」能力を利用し、切り札を終盤まで隠し通した。
しかし、特筆すべきは個性だけではない。「状況把握力・判断力」にも高い評価を持つ。
「思えばUSJじゃ蛙吹さんが冷静でいくれたおかげでずいぶん助けられた」
(『僕のヒーローアカデミア』8巻より)
USJでは最悪の事態「オールマイトを倒せる想定で敵が来ている」を想定しつつも、冷静に対処する蛙吹の姿に主人公の緑谷も安心感を覚えている。
また林間学校ではヴィランの奇襲で浮足立った麗日に対し、
「戦闘許可は「敵を倒せ」じゃなくて「身を守れ」ってことよ
相澤先生はそういう人よ」
(『僕のヒーローアカデミア』9巻)
と声をかけ、慌てた麗日の気持ちを立て直した。
A組B組合同戦闘訓練では上鳴・心操とタッグを組み、指揮官を務める。自身の個性でB組を翻弄しつつ、心操の個性「洗脳」が活きる状況を作り出し、勝利をもぎ取る。
仲間の個性と現状を把握し、瞬時に状況に合わせた策を練る姿は、八百万・緑谷につぐA組のブレーンと言えよう。仲間たちにいつも心配の言葉をかけるのも彼女だ。リカバリーガールからも、
「彼女の冷静さは人々の精神的支柱となりうる器さね」
『僕のヒーローアカデミア』8巻より
と評される。
だが、彼女の1番の魅力は別にある。