多摩川の捨て猫と3人のおじさんの絆に涙……愛猫家・後藤由紀子の『おじさんと河原猫』レビュー
著者の太田さんは白猫シロと出会います。加藤さんに完全になついていて嫉妬しながらシロを引き取る様子が笑えました。太田さんのおうちには先住人のとらとまるがいましたが長年、野良生活で培ったコミュニケーション能力と順応性で徐々に慣れていきます。
そんな〝空気の読める猫〟シロは、本当は空気を読み過ぎて不器用な猫だったということがだんだんわかってきます。(本書より)
と分析されています。その後、ぶさいくなぼーと出会ったり三毛猫のマーラが加わりレオーンが加わり、太田家は少しづつ大家族になっていきます。太田家の猫となって7年目、シロは猫エイズと膀胱炎の持病に加え小脳に障害があり闘病生活が始まります。
詳細はとてもとてもこちらにかけないほどです。涙なしでは語れないドキュメンタリーです。
シロはしあわせがお仕事。(本書より)
シロは美しくそして本当にいい子だったようです。加藤さんのまねをしてシロに呼び掛けて励ましたり、持ち直して歩いたりもしたのですが、皆さんの看取られながらの最後はオーバーラップしてしまい涙で文字が読めませんでした。是非、読んでいただきたい1冊です。
■後藤由紀子(ごとう・ゆきこ)
1968年静岡県生まれ。静岡県沼津市の雑貨店「hal(ハル)」店主。庭師の夫、長男と長女の4人家族。センスの良い暮らしぶりが雑誌などで人気。著書に『50歳からのおしゃれを探して』『おとな時間を重ねる 毎日が楽しくなる50のヒント』『毎日続くお母さん仕事』『日々のものさし100』など、暮らしまわりにまつわる著書多数。
■書籍情報
『おじさんと河原猫』
太田康介 著
価格:本体1200円+税
出版社:扶桑社
公式サイト