ナイツの時事ネタはどんな世相をも笑い飛ばす! 「コロナ疲れ」の日々を振り返って
時事ネタは新鮮なほんのいっときしか笑いにならないというイメージがあった。ところが『ナイツ午前九時の時事漫才』を読んで、新鮮でないとダメだというのは自分の勝手な思い込みであったと実感した。ある程度時間が経った時事ネタであってもちゃんと面白い。政治、経済、芸能、スポーツ。ゴシップが大好きでタブーなんてお構いなしにどんどん斬り込んでいく塙と、それを諫めながらも楽しんでいる土屋の掛け合いは飽きずにずっと聞いていられる。
本書はTBSラジオ『土曜ワイドラジオTOKYOナイツのちゃきちゃき大放送』の冒頭の時事漫才を厳選してまとめたものだ。漫才を通して2015年から約4年半のあいだ、世の中でどんな出来事があったのかを振り返っていく。明るいニュースも暗いニュースも、彼らにかかるとたちまち笑いに変化する。2017年に浅田真央選手が引退したときも2人はこのような漫才をしていた。
塙 トリプルアクセルといえば、会見で「トリプルアクセルに声をかけるとしたら、どんな言葉をかけたいですか?」っていう記者からの酷い質問がありましたよね。僕に対して「ボケに声をかけるとしたら?」って聞いてるようなもんですよ。
土屋 そうですね。
塙 土屋君に対して「上手から登場、に声をかけるとしたら?」って聞いてるようなもんですよ。
土屋 俺のいちばんの武器、登場なの!? ツッコミにしてくれよ!
国民的選手の引退。いつかはそのときがくるとわかってはいるものの、実際に引退会見を見ているとこみあげてくるものがある。テレビで活躍を見ることができなくなるのは寂しいけれど、第二の人生の門出を笑顔で送り出したい。ふたりは漫才の中でさまざまな選手の引退を取り上げている。これは悲しいニュースじゃない、嬉しいニュースだ。ひとしきり笑ったあとにニュースの見え方が変わってくる。