セックスレスの夫婦に“公認不倫”はアリ? 『1122』が問う、“イマドキの夫婦”のリアル

『1122』が描いた、イマドキの“結婚”の形

 夫婦をはじめとするパートナー間の悩みとして、当たり前のように“セックスレス”が語られるようになって久しい。そもそもセックスレスとは――日本性科学会は1994年に「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1カ月以上ないこと」と定義した。ジェクスと日本家族計画協会家族が実施した “性”の大規模実態調査「ジャパン・セックスサーベイ2020」によると、セックスレスの状態にある20歳から49歳の男女は51.9%。同じく日本家族計画協会が実施した「男女の生活と意識に関する調査」によると、男女のセックスレスの割合は2015年で44.6%、2016年で47.2%となっているため、年々増加していることが分かる。

 もちろん、セックスレス=パートナーシップが破綻しているとも言い切れない。性交渉がなくても仲の良い夫婦は存在するし、家族として、もしくは友人のように互いを信頼し合っているカップルもいるだろう。でも、どちらか一方が不満を持っていたら?

 セックスレスだけど、もっとセックスをしたいと思っている男性は81.0%(「ニッポンのセックス」相模ゴム工業/2013年)。女性は47.5%と男女で差はあるが、一方で巷には女性のセックスレスに関する悩みやコンテンツが溢れている。

 夫婦にセックスは必要なのか。そんな課題に対し、とことん冷静に向き合った漫画『1122』が7月20日に発売された7巻をもって完結した。本作は渡辺ペコが2017年から、『月刊モーニングtwo』(講談社)で連載していた夫婦の物語だ。

 主人公の相原一子と夫・二也(おとや)は、結婚7年目にして互いを「いちこちゃん」「おとやん」と呼び合うほどの仲良し夫婦。子どもはいないが、何でも話せる親友のような関係性で、結婚記念日や誕生日は必ず揃ってお祝する。二也は亭主関白とは無縁の性格で、ほぼ毎日定時で帰るし、一子と折り合いが悪い義母にも優しく家事にも積極的。ある意味“イマドキの夫婦”なのだが、相原夫婦には一つだけ変わった習慣がある。

 それは、二也が毎週木曜日に生け花を習いにいくということ。そして、そこで既婚女性・美月と逢瀬を重ね、第3木曜日はお泊りデートをする。一子はそれを了承している上に、二也がお泊りデートの翌日はあからさまに浮かれていても怒らない。いわゆる「婚外恋愛許可制=公認不倫」を夫婦間に設け、2人は互いの性を共有せずにいる。なぜ二也のような理想的な夫が公認とはいえ、夫婦関係を破綻させる原因足り得る不倫をしているのか。

 テレビでは連日著名人の不倫ゴシップが取り沙汰され、厳しい世間の目が向けられている今、結婚しているのに既婚者の美月に恋している二也に嫌悪感を覚える人もいるだろう。けれど、それは一子の何気ない一言がきっかけだった。

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