アニメじゃ観れない! マンガで広がる『ソードアート・オンライン』の世界

マンガ『ソードアート・オンライン』の世界

 著者の個人ウェブサイトに掲載されたのちに電撃文庫から刊行され、全世界2600万部以上の売上を誇る川原礫の小説『ソードアート・オンライン』(以下『SAO』)を原作とする最新TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』最終章(2ndクール)が、2020年7月より放送中だ。

 アニメは、VR MMO RPG「ソードアート・オンライン」(SAO)の世界を舞台にしたアインクラッド篇、「アルヴヘイム・オンライン」(ALO)を舞台にしたフェアリィ・ダンス篇、「ガンゲイル・オンライン」(GGO)を舞台にしたファントム・バレット篇、そして「アンダーワールド」を舞台とする現在放送中の「アリシゼーション編」を描いてきたが、実はアニメでは観られないがマンガでは読める『SAO』の世界が存在する。

 アニメを毎週楽しみにしているが飢餓状態でウズウズしているとか、原作は押さえているがマンガはまだという人向けに、「マンガで読める『SAO』」のシリーズをいくつか紹介しよう。

SAO攻略をイチから描く『ソードアート・オンライン プログレッシブ』

『ソードアート・オンライン プログレッシブ 001』

 『SAO』は、ゲームSAOの世界にプレイヤーたちが閉じ込められ、主人公キリトがラスボスを倒して現実世界に帰還するまでが原作小説第1巻で描かれている。舞台となるアインクラッドは階層構造になっており、プレイヤーたちはスタート地点である1層からゴールである100層までを目指していく。

 ゲーム攻略を小説1冊にまとめ、2巻で短編集のかたちでSAOでの冒険を補足したものの、1層から順々にどんな出来事があったのかをすべて描いていくわけではなく、端折っている——が、そのすべてを描こうというのが『ソードアート・オンライン プログレッシブ』シリーズだ。

 原作者・川原礫自身が本編とは別に執筆した小説シリーズとしてまず刊行され、マンガ版も『アインクラッド』『フェアリィ・ダンス』『ファントム・バレット』など本編のマンガ化とは別に行われている。

 『プログレッシブ』の内容はアニメ第1期で一部描かれているので微妙に「アニメじゃ観れない」とは言いがたいのだが……『プログレッシブ』のすべてではないのでここで取り上げたい。作画・比村奇石『ソードアート・オンライン プログレッシブ』は小説版と異なり、アスナ視点で描いていくのでアニメともまた違う楽しみがある。

 その続きにあたる部分を描くのが作画・三吉汐美『ソードアート・オンライン プログレッシブ 泡影のバルカローレ』。ヒロイン・アスナが妙にエロく(あざとく?)描かれているのが最大の特徴。ほぼキリトとアスナのラブコメで、そういうものが読みたい人には特におすすめ。

短編集のコミカライズ『ソードアート・オンライン キス・アンド・フライ』

『ソードアート・オンライン キス・アンド・フライ 001』

 『SAO』は原作でも何冊か短編集、または「○○編」から独立した巻があり、その多くはアニメ化されている。

 だが原作22巻のエピソードは作画べっこうリコ『ソードアート・オンライン キス・アンド・フライ』としてコミカライズされてはいるが、映像化はまだされていない。

 というのも原作の刊行が2019年10月とかなり最近のものであり、巻数的にはいまアニメ化が放映しているアリシゼーション編よりあと(アリシゼーション編は原作小説では9巻から20巻まで)だから。ただしアリシゼーション編のあとでなくとも、アニメ第1期(アインクラッド編とフェアリィ・ダンス編)を見終わっていれば問題なく読める。

 アインクラッドにてキリトの心に深い傷を刻んだサチとのエピソードの後日談は泣ける。

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