石田ゆり子に学ぶ、魅力的な年齢の重ね方 生き様を映し出すファッション

石田ゆり子に学ぶ、魅力的な年齢の重ね方 生き様を映し出すファッション

 石田ゆり子が、年々魅力的になっていく。それは、もともとの美しさに輪をかけて、キュートに年齢を重ねているからだ。失われない透明感。肩肘張らないナチュラルさ。それでいて、大人の落ち着きも兼ね備えて。その絶妙なバランスの良さは、どこからきているのだろうか。

 そんな疑問に答えてくれる、フォトエッセイ集が発表された。タイトルは『LILY’S CLOSET』。石田ゆり子のクローゼットを開けてみた、というのがコンセプトだ。確かに、石田ゆり子の“洗練された淑女“のたしなみと、“可憐な少女“の遊び心のバランスは、そのまま彼女のファッションの特徴でもある。

 さっそく本書を開いてみると、そこにはまるで手入れの行き届いたクローゼットのように、彼女の人生で大切にしていることが、清潔感あふれる言葉と共に並んでいた。

一流のものを自分らしく着こなす

 若いころから女優として第一線で活躍してきた彼女のこと、お気に入りのお店やアイテムと共に高級ブランドの名前も並ぶ。たとえば、“美しいヒールの靴“の章。「美しいものを見たくてあの心地よい空気が吸いたくて」エルメス銀座本店に「無意識に向かう」という。お店のドアは「ドアマンがすうっと開けてくれる」のだと続く。

 思わずうっとりとしてしまう憧れライフを送る一方で、彼女は「私のケリーはいよいよ、本格デビューします(笑)」という一文も。それは、“エルメスのケリーバッグ“での話。25歳のとき、パリを旅するという雑誌の仕事で「ケリーバッグをオーダーする」という企画があったのだそう。「こんな高価なものを今の私が注文していいのかしら」そんな気持ちを抱きながらオーダーをしたときの興奮が伝わってくる。それが25年も前の心境とは思えないほどみずみずしい筆致。きっと彼女の高級ブランドへのリスペクトは、当時とちっとも変わっていないのだろう。この特別なケリーバッグは「若かった頃の自分には不相応である」と自覚し、クローゼットの一番いい場所で飾っておいたという。

 「やっとここ数年で自分の年齢がだんだん一流のものたちと釣り合っていくように思えてきて…」そんな風に感じられるようになったのは、ケリーバッグに布製のストラップを付けて、カジュアルな装いにアレンジする余裕ができたから。きっと高級バッグが人々を魅了してやまないのは、それを自分らしく着こなせる人を目指そうと思えるからではないか。そんな気づきをくれるエピソードだ。

身にまとう色に年齢を重ねる楽しみを

 石田ゆり子は「色」に対しても、真摯に向き合う。「白は色の王様だと思っています。沢山の色がある中で白ほど自分が試される色は無い」「赤という色から私はいつも、体の中から静かに湧き上がるような力をもらっています」。中でも「黒」に対しては、「自分には強すぎる色」「素顔のそばに黒をもってきたときその強さや潔さに負けてしまう」とコンプレックスさえ抱いていたと、“黒いバッグ“で語る。

 ところが「40代に入ったあたりから不思議なもので『黒』が別の色に見えてきた。なんというか、『透明感を含む色』に見えてきたのです」という、なんとも興味深いフレーズが。

 「黒」は人が持つ歯や白目の白を引き立たせ、透明感を与える色なのだと思えるようになったのだそう。そして「私も年齢を重ね、全ての色を内包している『黒』のパワーに負けない何か…を内面に持つようになったのでしょうか。そうだといいけれど。でもきっと年齢を重ねる喜びってこういうところにあるのかもしれません」と。

 大人になるほど、「黒」を無難な色としてみる人は少なくない。「なんとなく黒」「とりあえず黒を着ておけば間違いない」という声も度々聞こえてくる。そんな中で、石田ゆり子は年齢と共に着こなせるようになった「色」を楽しむ。「世界にはこんなにたくさんの色があふれている。色の世界に、私は本当に興味があります」(“ハッピーな柄と色を着る“より)

 今身につける「色」が自分にとってどんな気分なのかを注意深く見つめ、その変化を楽しんでいく。そうした発見の日々が、石田ゆり子の失われないフレッシュさに繋がっているのかもしれない。

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