猫には猫同士の強い絆があるーー『うちの猫がまた変なことしてる。』が猫好きの心を捉える理由

『うちの猫がまた変なことしてる。』レビュー

思い通りにならない日常が愛おしい

 ほっこり感満載の本作は、猫の絆を感じさせてくれるだけでなく、思い通りにならない愛猫との日々を、改めて愛おしく感じさせる作品でもあった。自分の意思をちゃんと通すのが、猫という動物の特性。だから、飼い主が良かれと思って行ったことが、あっけなく拒絶されてしまうことは日常の中でたくさんある。

 卵山氏もリモコンで走る猫用おもちゃを購入したところ、3匹の反応はイマイチで残念な思いをしたり、ダンボール箱で作った猫ハウスに自身のニットを入れたら一瞬で出され、悲しくなったりしたよう。けれど、そうした理不尽な扱いをされても許せてしまうかわいさが猫にはある。思い通りにならない日々さえも、猫飼いにとっては「幸せな毎日」なのだ。

 そんな猫好きの心境をしっかりと表現しているからこそ、卵山氏が描く愛猫ライフは多くの人から支持され、新たな猫好きを増やすのかもしれない。猫好きによる、猫好きのための珠玉の一冊。猫愛が漏れ出す本作には、そんなキャッチコピーが良く似合う。

■古川諭香
1990年生まれ。岐阜県出身。主にwebメディアで活動するフリーライター。「ダ・ヴィンチニュース」で書評を執筆。猫に関する記事を多く執筆しており、『バズにゃん』(KADOKAWA)を共著。

■書籍情報
『うちの猫がまた変なことしてる。』既刊5巻発売中
著者:卵山玉子
出版社:KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/321508000382/

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