『東京ミュウミュウ オーレ!』はオリジナルからどう進化した? 青年が主人公になった新連載の魅力

『東京ミュウミュウ』愛され続ける理由

アイドルのコンサートのような楽しみ方

 『ミュウミュウ』では、読者たちはいちご達と一緒に熱い戦いに身を投じているように思える描かれ方であった。関連商品も、ミュウミュウたちに扮することのできる衣装やストロベルベルを始めとした攻撃アイテムなどで、多くの読者たちは、お気に入りのキャラクターになりきって決め台詞を口にし遊んでいた。恋する少女と、世界の味方のヒロインの両面に憧れ、物語に入り込んでいたのだ。また、前作でも男性キャラクターは複数名登場していたものの、いちごの視線は雅也に集中していたため、雅也の出番が最も多かった。だが、『オーレ!』では、ミュウミュウ全員を様々な角度から存分に見つめることができる。葵たちの戦いをあんず視点で、一歩引いた場所から冷静に眺めるように描かれているのだ。

 さらに、あんずはミュウミュウたちが美形であると認識しつつも、雅也を常に気にかけていたいちごの様に強い恋心を持って誰かを見つめているわけではない。ミュウミュウのリーダーは葵だが、各メンバーの中に存在するレッドデーターアニマルズの遺伝子に魅力を感じ、全員に熱視線を送る。あんずの視点は、葵と共に戦う頭脳明晰かつ水泳が得意な代々木静、元気な江戸っ子の神田龍成、ナルシストな俳優の六本木彩人らの魅力もしっかりと伝えてくれる。そのために、アイドルのコンサートで、特に応援するメンバーを双眼鏡で追い続けるような楽しみ方もできるのだ。少女たちだけでなく、現代を生きる大人の心も、元気にしてくれる作品だ。

■誉田優
フリーライター・記者。ドラえもんと共に育った生粋の漫画好き。
Twitter:@yu__honda

■書籍情報
『東京ミュウミュウ オーレ!(1)』
青月まどか 著
価格:本体450円+税
出版社:講談社
公式サイト

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