ピース又吉、シソンヌじろう、東野幸治……日常に笑いを届けるお笑い芸人の本5選

ピース又吉、シソンヌじろう、東野幸治……日常に笑いを届けるお笑い芸人の本5選

 新型コロナウィルスの拡大防止を受け、全国に緊急事態宣言が出されている。自宅待機を余儀なくされ、普段とは異なる不自由さにストレスを抱える人も多くいることだろう。もし時間を持て余しているならば、読書がオススメだ。時間をかけて読むことができるし、思いも寄らない想像や妄想を楽しめたり、知らなかった表現や言葉を学べたり、知識を増やせたりもできる。

 中でも、読みやすさという面でオススメしたいのは、お笑い芸人が書いた本。ナイツ・塙宣之著『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』(集英社刊)、ハライチ・岩井勇気著『僕の人生には事件が起きない』(新潮社刊)、オードリー・若林正恭著『ナナメの夕暮れ』(文藝春秋刊)、ブラックマヨネーズ ・吉田敬著『黒いマヨネーズ』(幻冬舎刊)……。近年、話題となったものだけでもオススメしたい本はたくさんあるが、この記事では自身が所有する本の中から想像力を掻き立てられ尚且つクスリと笑える5冊を紹介したい。

『第2図書係補佐』(幻冬舎よしもと文庫)

 まずオススメしたい1冊は、ピース・又吉直樹による『第2図書係補佐』(幻冬舎よしもと文庫刊)。東京・ヨシモト∞ホールでかつて配布されていたフリーペーパーのコラム連載をまとめた1冊。又吉オススメの本が1冊ずつ紹介されているが、本の内容に触れているのは最後の2~3行だけ。自身のこれまでの体験と本の内容と自然とリンクする展開となっており、読み終えた瞬間、どんな書評を読んでいる時よりも「この本を読んでみたい!」という好奇心を掻き立てられる。なお、EXIT・兼近大樹は、この本を読んで芸人になろうと決意したそう。読書初心者や本を読むのが苦手な人にこそ、手に取っていただきたい。

 続く2冊目は、東野幸治による著書『この素晴らしき世界』(新潮社刊)。これまでに出会った個性の強い吉本芸人31名のエピソードが収められたこの本は刊行当初から話題となり、瞬く間に重版が決定した。

『この素晴らしき世界』(新潮社)

 「がはは!」と豪快に笑いながら的確且つ毒っ気のあるコメントで、お茶の間へ多くの笑いを提供し続けてきた東野。嫌いや苦手という感情よりも好奇心のほうが勝ってしまうという芸人気質を存分に活かし、本著でも人によっては敬遠されてもおかしくない欠点や暗部に鋭く切れ込んでいく。

 唯一コンビで紹介されているリットン調査団の2人は芸人らしい泥くさい生き方が滲み出ているし、宮川大助・花子についての記述では芸人という世界で生き抜くために進むべき方向を転換して育んだ漫才への熱い気持ちに思わず涙ぐんでしまう。いろんな人がいるからこそ、この世は多様で面白い。人生を味わい深く歩む芸人たちの真髄に触れられる1冊だ。

『煩悩短編小説』(幻冬舎)

 3冊目に紹介するのは『煩悩短編小説』(幻冬舎刊)。放送作家や作家として活躍するせきしろとドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ)などで俳優としても活躍するバッファロー吾郎Aとの共著は、煩悩と同じ108字で綴られた108編の短編集。短いながらも情景がはっきりと浮かぶ物語を読みながら、ニヤニヤしたり、小さな笑い声を漏らしたりしてしまう。不要不急の外出自粛が求められる今だからこそ、笑いに満ちた想像力と妄想力の世界を堪能していただきたい。

 ちなみに、2012年に発売された『マンスリーよしもとPLUS vol.039』(ヨシモトブックス刊)の特集「読書芸人が選ぶ本&マンガ144」の中で、麒麟・川島明が本著について「アイデアが詰まった時に刺激を受けることが多い本。一生手元に置いておきたい」と語っているいる。

『サムガールズ―あの子が故郷に帰るとき―』(ヨシモトブックス)

 4作目に紹介するのは、『サムガールズ―あの子が故郷に帰るとき―』(ヨシモトブックス刊)。『キングオブコント2014』(TBSテレビ)王者で、職人派コント師・シソンヌのじろうが、ローカルライフ・マガジン『雛形』で連載していた短編をまとめた1冊だ。

 今年公開が予定されている映画『甘いお酒でうがい』で、松雪泰子が演じる川嶋佳子は元々、じろうが演じていたコントのキャラクター。ちょっぴり地味で儚げながらもどこか色っぽい女性を演じさせたらピカイチだということは、コント番組『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』(NHK)で演じる小金原聡子などでもご存じな方も多いだろう。じろうがコントの中で演じる女性たちは切なくもの悲しく、何より常に一生懸命。

 本著に描かれているのは、編集部から送られてくる写真と少しのプロフィールを手がかりに、会ったことはないけれど実在する9人の女性、さらに書籍の書き下ろしとして女優・西田尚美からインスピレーションを得た10つの物語。必死で生きる暴走気味の女性たちの人生に、勇気づけられることは間違いない。

『えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳般若心境』(ヨシモトブックス)

 最後に紹介する笑い飯・哲夫による『えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳般若心境』(ヨシモトブックス刊)は、彼の仏教好きが世の中に知られるようになった1冊。身近にありながらも意味を理解するまで踏み込むことの少ない般若心境を、写経もたしなむ哲夫が自身の解釈に基づいて、わかりやすく説明している。

 『M-1グランプリ』決勝の常連だった笑い飯が、当時の参加資格上限だった芸歴10年で悲願の優勝を果たすその1年前の2009年に出されたこの1冊には、若かりし哲夫らしい尖った笑いが散りばめられている。小さい頃、家へ月命日にやってくるお坊さんの声が好きだったという理由で興味を持ち、独学で学んだという般若心経。勤勉さとお笑いで培った豊かな表現力によって書かれてこの本を読むと、難解だと敬遠していた般若心境を身近に感じられるはずだ。

 年齢を重ねるごとに、さらに仏教を究めている哲夫。先に発刊されたばかりの『ザ煩悩』(KADOKAWA刊)、『ブッダも笑う仏教のはなし』(サンマーク出版刊)などもオススメしたいところだ。

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