大林宣彦「きみたちは僕の未来です。未来の平和を期待します」 『最後の講義 完全版 大林宣彦』
映画監督・大林宣彦が4月10日夜、逝去した。大林監督の最後の書籍『最後の講義 完全版 大林宣彦』が主婦の友社より発売されている。
NHKで放送され大反響をよんだドキュメンタリー番組『最後の講義』は、各界の偉人たちが「もし今日が最後だとしたら何を語るか」という問いのもと、大学生たち対して講義を行う様子を放送。大林監督の回が放送されたのは2018年3月だった。
当時、がんで余命3ヶ月の宣告を受けてから3年目を迎えた大林監督は、3時間、若者たちに「なぜ映画監督になったのか」「小津監督や黒沢監督、国内外の映画監督と映画史に残る映画がいまなお伝えるものとは」「母が自分を殺して、自殺を図ろうとした戦時中の思い出」「そこから生まれた平和への強い思いと映画」など映画を通して伝えてきたものをたっぷり語った。
本書は、テレビで未放映だった部分も含め完全版として書籍化。大林監督の作品や出演者、過去の監督や作品などの、脚注も豊富で、映画歴史もよくわかるようになっている。
本書「おわりに」より
きみたちは僕の未来です。
未来の平和を期待しています。
ぼくはまだ長生きするつもりですが、きみたちは、ぼくの知らない時代を生きることになります。ぼくが知っている戦争の時代ではない、ぼくが知らない平和な時代を見せてください。
(中略)
ぼくたちの手で、嫌な世界を居心地のいい世界に変えてやろうじゃないか。
映画では、平和を引き寄せられます。
本当にそれができるのだから。
頼むよ、みんな。
■書誌情報
『最後の講義 完全版 大林宣彦』
発行:主婦の友社
著者:大林宣彦
定価:本体1300円+税
<発売中>
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