EXILEの結成秘話からLDH流ビジネス論まで 「Love, Dream, Happiness」を深く知るための名著4選
LDH JAPAN『LDH our promise』
LDHの考え方をより深く知りたい方には、『LDH our promise』(小学館)がおすすめだ。同書は、LDHの社員と所属アーティストに配られる本を一般向けに再編集したもので、「夢を全力で追いかける仲間たちが交わした“約束”であり、社会に対して『僕たちはこう生きる』と宣言する“約束”」が綴られている。
EXILEがどんな想いを抱いて活動してきたのか、これから何をしていくのかというビジョンに始まり、LDH所属アーティストに求められる姿勢や、スタッフとしての心がけ、そしてLDHが運営する総合エンタテインメントスクール・EXPG STUDIOの生徒たちに向けて、どんな人間に成長してもらいたいのかまでが丁寧に記された本書は、まさにLDHの教典と呼べる一冊である。
アーティストだから、芸能人だから、という意識は一切持たないでください。
アーティストといっても一つの職業にすぎず、僕らは社会の一員であり
人として決して周りの人より優れているわけではありません。
(中略)
あなたがエンタテインメントを通じて伝えたい相手は、
この社会に生きるより多くの人びとのはずです。
つねに周りを思いやる気持ちや謙虚な心がなければ
人に感動を与えられる表現者になることはできません。
アーティストである前に、一人の人間として良識のある人でいてください。
(『LDH our promise』P15より)
LDHのアーティストはなぜいつも謙虚なのか。そしてその背景にはどんな考え方があるのか。本書はアーティストのみならず、すべての社会人にとって学ぶところのある良書であるといえよう。
EXILE TETSUYA『三つ編みライフ~夢を叶えた31の言葉~』
LDHの考え方を発展させ、より一般的なビジネス論へと昇華した一冊として注目したいのは、EXILE TETSUYAの『三つ編みライフ~夢を叶えた31の言葉~』(日経BP)だ。アーティスト、ダンス教育/研究、コーヒーショップ「AMAZING COFFEE」のプロデュースという三つの仕事を持つEXILE TETSUYAが、大切にしている31の言葉とともに自らの仕事論を語った同書は、これからの時代の働き方への指南書としても有益である。
本書で提唱される「トリプルミッション」は、確固たる理念のもとに三つのミッションを循環させていくことで、そのビジネスやプロジェクトがうまく行くという考え方で、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の平田竹男教授が提唱した図式だという。「トリプルミッション」の実践は、働き方が多様化する昨今における新しいロールモデルとなるかもしれない。
また、組織図を頂点のあるピラミッド型で捉えるのではなく、逆台形として捉えることで、多様な夢のあり方を実現しようとする「逆台形モデル」も、魅力的な考え方だ。
「ピラミッド型だと、頂点を目指せるのは一握りになってしまうし、頂点を目指せなかった人はその業界から離れてしまい、結果的に業界全体が縮小していってしまいます。でも、目指すべき山がたくさんあれば、その業界に関わる人が増え、普及にも繋がり、結果的に資金も集まる」(参考:EXILE TETSUYAが語る、“トリプルミッション”という働き方 「三つのミッションを循環させていくことでうまく行く」)
夢を叶えられるのは、一部の限られた人間であるーーそのようなゼロサム思考ではなく、多様な夢のあり方を提示することで、誰もがいきいきと働くことができる社会を目指す。EXILE HIROが掲げた「Love, Dream, Happiness」は、エンタテインメントを通じて社会にどのような貢献ができるのかという理念へと繋がり、その具体的な実践方法や仕組み作りを発信するまでに進化しているのである。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、誰もが先行きの見えない日々を送っている昨今だが、こんな時だからこそ「Love, Dream, Happiness」の精神から学ぶことは多そうだ。1日も早く新型コロナウイルス騒動が収まり、彼らが再び我々の前で素晴らしいエンタテインメントを披露してくれることを願いたい。