『ランウェイで笑って』長谷川心こそ“努力の人”だーーモデルからデザイナーへ、覚悟の転身に迫る

『ランウェイで笑って』長谷川心こそ“努力の人”だーーモデルからデザイナーへ、覚悟の転身に迫る

恵まれた才能を持つ長谷川心の孤独

 週刊少年マガジンで連載中の大人気漫画、『ランウェイで笑って』。連載4年目になる2020年にはアニメ化もされ、ますます話題を集めている。身長が小さいながらもモデルを目指す藤戸千雪と、家が貧しいながらもデザイナーを目指す都村育人の二人の主人公が、夢に向かって一歩ずつ進んでいく姿を中心に物語が描かれる。幼い頃からパリコレモデルを目指し努力を続けてきたにも関わらず、身長が伸びなかったというハンデを抱えた千雪の前に立ちはだかるのは、高校生のときに大手事務所にスカウトされ、モデルとなった181㎝の身長の長谷川心だ。

 トップモデルとしての成功が確約されたはずの心からはどんな景色が見えているのか考えながら、作品の奥深さを追求していこう。

※以下、ネタバレ注意

 長谷川心は、目立つことを好まない、どちらかといえば内気な少女だ。性格は決して、モデル向きではない。だが、180㎝を超える身長だけでなく、小さい顔に長い手足が、普通の女の子として過ごすことを許さなかった。押しに弱い心は、大手事務所のマネージャー・五十嵐に「業界の宝」としてスカウトされ、モデルの仕事をしながら東京で一人暮らしをしている。街行く男性やクラスメイトにデカ女と言われ、「女として見れない」といった心無い声をかけられてきたものだから、よりいっそう自信がない。仕事現場で躊躇なく服を脱ぐ千雪とは反対に、人前で着替えることも嫌がる心だが、モデルデビューするなりメインモデルとして起用されたため、同僚や先輩からは嫉妬され、常に孤独を感じている。

 そんな心のモデルとしての武器は、恵まれたスタイルのみならず、人を寄せ付けないオーラだ。できるだけ背が大きく見えないよう、猫背で歩く心は、仕事モードになるとすっと背筋を伸ばし、貫録を見せつける。千雪が「心を閉ざしているみたいな魂が宿らない瞳。逆にそれが異質な空気になってる」と評するように、仕事上では笑顔を見せてはいけないとされるモデル業に、いっそうマッチして見える才能を持っているのだ。だが、内気なだけではなく優しすぎる心にとっては、他人を蹴落としてまで自分が上に立たねばならないモデルの世界は過酷で、生きることを苦痛に感じていた。

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