『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の描写は本当にリアルか? 週5で現場に通うドルオタが検証

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の描写は本当にリアルか? 週5で現場に通うドルオタが検証

「繋がり常習犯」のイケメンオタクの存在

 ただリアリティという点で自分が“あ、ここまで踏み込むんだ!”と驚いて、なおかつストーリー的にもすごく重要だと思う要素があって……。それは18話から登場する繋がり常習犯のイケメンオタクの存在です。6巻が終わった段階ではまだ大きな役割は果たしてないですが、基本的にいい人しか出てこないこの作品のなかで唯一の完全なヒールと言っていいキャラクター。現実の地下アイドルシーンでも、最近では3日に1回レベルでアイドルの繋がり解雇が発表され、それが原因で去年一般ブレイク直前クラスだったグループが解体に追い込まれたこともあり、最大の問題の1つと言っても過言ではありません。18話で彼が登場したときは、本当にドキッとしたし、正直このキャラ出して欲しくなかったな〜とすら思いました。

 私にとってこの作品の魅力は、とかくドロドロでネガティヴな面ばかりが取り上げられがちな地下アイドルを題材にして、すごくバランスよくリアリティを詰め込みながら、切なくも笑えてほっこりできる肯定的なストーリーを紡いでくれてることです。実際現役地下ドルでこのアニメを見てる人はすごく多くて、世の中的に良く思われないことも多い自分たちの日々の営みを、すごく優しく肯定してくれる効能があるんですよね(笑)。でも『推しが武道館いってくれたら死ぬ』において、一向に進展しそうにないえりぴよと舞菜の関係に変化を起こし、いちばんガチガチに切ないモードを招き寄せるのは、リアリティあり過ぎて異物感のあるこのイケメン繋がり厨くんな気がしてなりません。今後の彼の動向に注目していこうと思います。まあ現実の現場では絶対出会いたくないですけど!

【注1】ピンチケ……元々はAKB48劇場で中高生の割引チケットの色がピンクだったことから、48界隈で中高生のオタクを指す言葉として定着したが、現在は定義が緩くなり20代前半くらいまでの自己主張強めな若いオタク全般を指すように。

【注2】MAPLEZ……2013年“ひろしまMAPLE★S”として結成。2018年解散。
現在は広島・東京ベースで活動する運営会社の名称MAPLE INC.にその名残が。

■山下剛一(やました ごういち)
1969年生まれ。編集者・ライター。

■書籍情報
『推しが武道館いってくれたら死ぬ 6巻』
平尾アウリ 著
価格:本体630円+税
出版社:徳間書店
公式サイト

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