二次元キャラとライブエンタメの融合はどこまで進む? 小説版『GETUP! GETLIVE!』が示した可能性

二次元キャラとライブエンタメの融合はどこまで進む? 小説版『GETUP! GETLIVE!』が示した可能性

 それにしても、2次元のキャラクターとリアルなライブエンターテインメントの融合は、どこまで広がっていくのだろう。マクロスシリーズのような前史的な作品はひとまずおいて、2005年に始まった『THE IDOLM@STER』あたりをバーチャルとリアルが混交し、声優たちが演じるだけでなくステージにも立って歌うエンターテインメントの転換点として、『ラブライブ!』や『プリパラ』『Wake Up, Girls!』『BanG Dream!』と女性アイドルユニットが登場し、人気が拡大していった。

 一方で、『アイドルマスターSideM』や『アイドリッシュセブン』『うたのプリンスさまっ』といった男性ユニットも大流行。この延長であり、アイドル路線から趣向を変えたものとして、2017年に始まったのが音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」。これが目下、とてつもない盛況ぶりをみせている。

 キャラクターがいて声優がいてユニットを組み、CDで歌い舞台でも歌う点は同じ。イケブクロ・ディビジョンBuster Bros!!!(バスター ブロス)のリーダー、山田一郎は『ドラえもん』でジャイアンを演じている木村昴、ヨコハマ・ディビジョンのMAD TRIGGER CREW(マッド トリガー クルー)でリーダーの碧棺左馬刻は、『あんさんぶるスターズ!』『A3!』といったアニメやゲームで活躍する浅沼晋太郎が担当している。シンジュク・ディビジョンのリーダー、神宮寺寂雷を演じているのは、イケボ声優の代表格ともいえる大ベテランの速水奨だ。

 きらびやかなアイドルユニットとは違って、荒々しさを見せることもあるラップバトルにジャイアン役の木村昴はぴったりの声質。リアルなビジュアルでもラッパーの風体をしっかり見せる。ゲームの『龍が如く』シリーズで主役の桐生一馬を演じて来た黒田崇矢が、オオサカ・ディビジョン代表チームのどついたれ本舗に所属する天谷奴零を演じると聞いて、女性が圧倒的に多いヒプマイファンに交じって、男たちもその姿を見にライブにもぐりこみたくなっていそうだ。

 そちらがラップなら、こちらはお笑いといった感じで生まれた「GETUP! GETLIVE!(ゲラゲラ)」だが、すでに併走するプロジェクトがあったりする。それが「ラフラフ!-laugh life-」。こちらも、若手からベテランまで16人の声優がキャラクターを演じて漫才やコントを繰り広げ、舞台にも立ってネタを演じる。

 「GETUP! GETLIVE!(ゲラゲラ)」と同様に、イケメンが勢ぞろいしたキャラクターへの関心、演じる声優への好意、そしてお笑いそのものへの興味を誘ってファンを増やしている最中だが、「声優×二次元芸人」というジャンルで共存共栄していけるのか、それともどちらかが競争に敗れて消えていくのか。両方のプロジェクトに参加している豊永利行にとっても、気になる話かもしれない。

■タニグチリウイチ
愛知県生まれ、書評家・ライター。ライトノベルを中心に『SFマガジン』『ミステリマガジン』で書評を執筆、本の雑誌社『おすすめ文庫王国』でもライトノベルのベスト10を紹介。文庫解説では越谷オサム『いとみち』3部作をすべて担当。小学館の『漫画家本』シリーズに細野不二彦、一ノ関圭、小山ゆうらの作品評を執筆。2019年3月まで勤務していた新聞社ではアニメやゲームの記事を良く手がけ、退職後もアニメや映画の監督インタビュー、エンタメ系イベントのリポートなどを各所に執筆。

■書籍情報
『GETUP! GETLIVE!』
著者:渡航
イラストレーター:由良
出版社:文藝春秋
定価:本体1700円+税

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