『pet』連載終了から17年、今なお人々を惹きつける理由は? “まだ見ぬ世界”描く三宅乱丈の作家性

『pet』連載終了から17年、今なお人々を惹きつける理由は? “まだ見ぬ世界”描く三宅乱丈の作家性

 現在、TOKYO MX 毎週月曜22時で放送中、および、Amazon Prime Videoで独占配信中のアニメ『pet』。人間の精神に入り込み、記憶を操り人間性を破壊するほどの特殊能力を持つ超能力者たちの苦悩や強い執着心を伴う人間関係を、力強い筆致でドラマチックに描いた作品だ。“ペット”とは、作中で彼らが呼ばれる蔑称である。

 原作は三宅乱丈の同名作品。2002年に『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載を開始し、2003年に単行本全5巻で完結、2009年には『ペット リマスター・エディション』として、全編にわたり大幅な加筆修正と描き下ろしが加わった単行本がKADOKAWAから発売された。

 今回のアニメ化は、『デュラララ!!』『夏目友人帳』の監督を務めてきたアニメーターの大森貴弘氏が10年以上映像化を切望し、配信サービスの充実により、ソフトの売れ行きがそこまで重視されなくなったことで、ようやく実現されたという。原作の完結から17年が経ち、今なお読んだ人間の心を離さない『pet』――その魅力はいったい何なのだろう。

 作者は2004年のインタビュー『異才・三宅乱丈の奇妙な冒険』(参考リンク:http://media.excite.co.jp/book/interview/200408/、現在は非公開)のなかで、『pet』のネタは連載開始の10年くらい前に考えていたネタであることを明かし、クローネンバーグの『スキャナーズ』に影響を受けた可能性があることを示唆している。

 1981年に公開されたSFホラー映画『スキャナーズ(Scanners)』はカナダの映画監督デヴィッド・クローネンバーグの出世作だが、本作にも人間の精神をコントロールできる超能力者が登場する。『スキャナーズ』では『pet』同様に超能力者同士のバトルが展開されるが、テレパシーによる精神攻撃が主なため、俳優の表情が強く印象に残る。三宅乱丈の作品の魅力のひとつも、登場人物たちの多彩な表情だ。

 漫画家の仕事場に密着するNHKのドキュメンタリー『漫勉』(2016年9月22日放送)で三宅は、強い感情を描くときはその人物と同じ感情になっていると語っていた。

 三宅のペンを走らせるスピードは非常に早く、『漫勉』のMCを務める浦沢直樹からは、「スピード女王」の異名を送られている。「この時の感情にもう戻れないから、その流れで書かないと」と彼女自身が言うように、瞬間の感情をそのペン先で絵に閉じ込めているかのようだった。

 宇宙を舞台にした壮大なSF超大作『イムリ』(KADOKAWA)で第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した三宅は、その構成力も高く評価されている。

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