『ファクトフルネス』ロングセラーの一因はオリラジ中田のYouTubeか? 今週のビジネス書ランキングを考察

『FACTFULNESS』ランキング1位に返り咲き

週間ベストセラー【単行本 ビジネス書】ランキング(1月28日トーハン調べ)
1位 『FACTFULNESS』ハンス・ロスリングほか 日経BP
2位 『人は話し方が9割』永松茂久 すばる舎
3位 『1兆ドルコーチ』エリック・シュミットほか ダイヤモンド社
4位 『嫌われる勇気』岸見一郎、古賀史健 ダイヤモンド社
5位 『時間革命』堀江貴文 朝日新聞出版
6位 『GACKTの勝ち方』GACKT NORTH VILLAGE発行/サンクチュアリ出版発売
7位 『メモの魔力』前田裕二 幻冬舎
8位 『学び効率が最大化する インプット大全』樺沢紫苑 サンクチュアリ出版
9位 『2030年の世界地図帳』落合陽一 SBクリエイティブ
10位 『節約・貯蓄・投資の前に今さら聞けないお金の超基本』泉美智子監修、坂本綾子 朝日新聞出版

 1月28日トーハン調べの週間ベストセラーランキングは、発売から1年が過ぎた『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』がまたもや首位に返り咲く結果となった。

 4位にも2013年発行の『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』が入ったとはいえ、旬の短いビジネス書が1年以上も新たな読者の心を掴み続けるのは容易なことではない。この偉業は何に起因するものなのだろうか。そして、『ファクトフルネス』は過去のビジネス名著を追いかけ、どこまで部数を伸ばし続けるのだろうか。

 発売当初、共訳者の上杉周作氏が動画でプロモーションを仕掛けていた『ファクトフルネス』であるが、年末年始に売り上げを伸ばした要因としては、これもまたオリエンタルラジオの中田敦彦氏によるYouTubeでの紹介が、そのひとつであるのは間違いないだろう。(編注:「中田敦彦のYoutube大学」では、動画3本に渡って『ファクトフルネス』一冊の内容を細かく紹介。3本いずれも50万回以上再生されている(1/31現在)。)

 そもそもこの季節は、出版業界にとっても1年を振り返り総決算をするタイミング。年末年始とは、おなじみの新聞書評、そして勉強熱心なビジネスパーソンなら必ず目を通すであろう各経済誌が経済書・ビジネス書ランキングを発表し、その後の売り上げを左右するため、出版社や著者もそわそわと腰を落ち着けることができない季節なのである。

 そんな中、ここ数年の定番の販売動向にも変化が見え始めた。それが著名人によるYouTubeでの紹介である。確かに書籍は、以前からテレビ番組で取り上げられ、ダイエットや片付け、健康に関する実用書が、今なお読まれるベストセラーになったり、Twitterでバズった書籍が瞬間風速的に売れる事例は多々あった。しかし、これらのプロモーションは、元々出版社が仕掛けているケースがほとんど。もしくは突発的に衆目を浴び、すぐさま潮が引いていくと言うものだった。

 電車や新聞広告であれば歴史も古く、費用対効果のデータ蓄積があるため事前の販売予測は立てやすい。テレビや新聞書評も、放送・発行の前に情報が入るため出版社や書店も準備はできる。たまたまTwitterで取り上げられたものは長続きしないし、専業のYouTuberやInstagramerの紹介では、その熱烈なフォロワー以外にまで読者層を敷衍していくのは困難だろう。

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