小林よしのりが語る、凶暴な漫画家人生 「わしにはまだ、納得いかないことが多い」
『SPA!』に戻ってきた『ゴー宣』 “最期の戦い”の意味とは?
――23年ぶりに『SPA!』に戻られたわけですが、居心地はいかがですか?
小林:雑誌が送られてくるじゃないですか。ペラペラとめくってたら楽しそうだと思うわけよ。袋とじも切って読みたいと思うけど、自分の作品しか読む時間がないという状態で、まったく暇がない。でも、『SPA!』には、わちゃわちゃと楽しく、色っぽいものから格差の問題までやっといてほしいね。その中に自分の漫画があることで、すごく活きると思っています。これが保守論壇誌じゃダメなわけで、一般的な快楽を貪る人たちがいっぱいいる中で描きたいんです。それが一番やりがいがあるから。だいたい、今は雑誌がないですから。『SPA!』が唯一の総合誌と言って良いくらいでしょ。総合誌としての役割を編集者のみんなが果たしてくれれば、ものすごくありがたいと思って描いてますよ。
――反響はいかがですか?
小林:今は個人情報の問題があるから、読者からの手紙は裏側だけコピーして渡されるんです。そうなると誰だかわからないという難しさがありますね。昔にくらべて雑誌でのコミュニケーションが難しくなって。昔は抗議する人もしっかりとした手紙を書いてきたから、読んだ時に反省するんです。間違ってたなぁと思ったら、ちゃんと漫画の中で謝った。だから、本気ならビシッと手紙を書いてこいって思うんですよ。それを読んだ人間は魂を動かされる。そうやって関係性が成り立つのよ。
――『ゴー宣2nd』1巻の檄文に「怠惰と堕落の底に沈んだ日本を、再浮上させるための最期の戦いが必要だと決意した」と書かれています。この“最期”とはどのような意味でしょうか?
小林:まあ、何歳までこんな調子で書けるかわからないからね。西部邁も死んじゃったし、もう先はないかなぁと思って。
――現在66歳ですよね。すごく健康そうにみえますが。
小林:そうなんですよね(笑)。でも、60代後半でバタバタ死んでる人がいっぱいいるでしょ。今後、どうなるのかわからない。だから、最大限やっておくしかないという感覚ですよ。わしにはまだ、納得いかないことが多いんです。最後にゴー宣道場も全部、徹底的に利用して、やるだけやってみようかなと。わし、かなりモテてきちゃったから、すごく女の人に感謝してるんです。だから最後に少しぐらい女の人のために良いことしておきたい。あとは少子化。わしは絶対、少子化で日本が滅ぶと思ってるわけ。このまま行くと漫画は滅ぶよ。読者の年齢がどんどん上がって終わりでしょ。なんで少子化になるのかと言ったら、女の人が一人で子供を育てないといけないからだよ。核家族化してるから旦那がいっしょに育てるしかないけど、それじゃあ、子供を育てるのが難しいよ。それは共同体が崩壊したからだけど、地域を再生させればやれるわけじゃない。これは経済政策で具体的にやれると思うので、都市計画を作れる学者を道場に呼ぼうと思ってるんです。全部、子供と女性のためだね。ずっと子供漫画を描いてきたので子供を助けよう。子供を産むのは女性だから、産みやすい社会を作ろう。世の中をそうやって回していきたいんです。
(取材・文=成馬零一/写真=林直幸)
■書籍情報
『ゴーマニズム宣言2nd Season 3』
著者:小林よしのり
発売:2019年11月8日
定価 :本体1200円+税
発売元:株式会社 扶桑社
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4594083528/
楽天ブックス:https://books.rakuten.co.jp/rb/16100574/
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