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『全裸監督』『スカム』『サギデカ』……ドラマ原作に新潮流、実録モノ&新書から良作が?

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 近年のテレビドラマは、原作モノが増えている。特に夏クールは原作モノが多かった。そのためオリジナル作品が少なかったことを嘆くドラマファンの声が多数聞こえてきたが、原作モノというだけで、最初から駄作だと決めつけてしまうのは、偏見ではないだろうか?

 日本のテレビドラマは、脚本家の作家性が占める要素がとても大きい。そのためオリジナル作品=作家性が高く、原作モノ=脚本家の作家性が乏しいという価値観が強い。確かに一人の作家がオリジナル作品を全話執筆することで構築される作家性は日本のテレビドラマにおける大きな武器だが、原作モノにもまた、オリジナル作品とは違う脚色によって現れる作家性を見出すことができるため、一概に原作モノ=ダメな作品とは言い難い。何より、原作モノと言っても、近年は作品数が多いこともあって、そのバリエーションがとても豊富である。

 おそらく、多くの人々が原作モノと言う時に思い浮かべるのは漫画と小説だろう。前クールでは、『監察医 朝顔』(フジテレビ系)、『Heven?~ご苦楽レストラン~』(TBS系)、『偽装不倫』(日本テレビ系)、『凪のお暇』(TBS系)、『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系)等が漫画原作、『ルパンの娘』(フジテレビ系)、『これは経費で落ちません!』(NHK)等が小説原作だったが、この中で一番見事なアプローチだったのは『凪のお暇』だろう。

 漫画原作の場合、すでに絵が存在するため、映像化の際にビジュアル面でどうしても漫画に引っ張られてしまう。特に原作ファンは、イメージと違う実写化には反発を持つことが多い。だから近年の漫画原作は極力内容を変えないように腐心しているのだが、そこに囚われすぎるとドラマならではの持ち味が損なわれてしまう。また、ページをめくることで話が進んでいく漫画や小説と、時間に沿って映像が展開されていくドラマや映画とでは、そもそも表現として別モノなのだ。漫画や小説をドラマや映画に落とし込む際にエピソードの取捨選択をし、時間軸をいかにコントロールするかが最大の肝なのだが、多くの作り手は原作をそのままをやろうとして失敗してしまう。

 そんな中、『凪のお暇』が成功したのは、原作のエッセンスは残しつつもドラマならではの作品に仕上げたからだろう。主演の黒木華、高橋一生、中村倫也のビジュアルや年齢が原作のキャラクターと違う要素が多かったので、放送前は仕上がりが不安視されたが、放送がはじまるとそういった声は聞かれなくなったのは、「空気を読む」という漫画のテーマをドラマ作品の中にしっかりと落とし込んでいたからだろう。脚本を担当した大島里美は原作のエッセンスを踏まえたドラマならではの脚色が功を奏し、近年では、野木亜紀子脚本の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)や安達奈緒子脚本の『透明なゆりかご』(NHK)に匹敵する理想のドラマ化だったと言えよう。

本橋信宏『全裸監督 村西とおる伝』(大田出版)

 一方、新しい流れとして見逃せないのが、実録モノだ。筆頭はなんといっても8月にNetflixで配信がスタートした『全裸監督』だろう。本作は本橋信宏の執筆したノンフィクション『全裸監督 村西とおる伝』(大田出版)を映像化した作品で、村西とおるを主人公に80年代のAV業界を描いたピカレスクロマンとなっている。本作には脚本家が4人(山田能龍、内田英治、仁志光佑、山田佳奈)いるのだが、4人で一話を執筆するというチームライティングが採用されている。また原作をそのまま映像化するのではなく、コリアンとバイリンガルの日本人、二人の女性が脚本アシスタントとして参加し、現代の視点から見ると引いてしまうような描写はカットされ、今風の物語に脚色されている。

      

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